風変わりな人達が登場する、ちょっと変わったフランスの恋愛小説
2006-03-13
「Poisson d'amour」
著者 : Didier Van Cauwelaert
出版社 : Points (Seuil)
ISBNコード : 2020403498
表装 : ペーパーバック( 11x1x18)187頁
| 本の内容 | ☆☆ | 13/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | すらすら読めました |
Drouet の競売所で、一目ぼれした PhillipとBeatrice。
彼女の瞳に込められたメッセージに誘われるまま、Phillipは、セリを吊り上げて、貴族の箱型の移動用椅子を法外な価格で買う羽目になってしまう。
実業家の姉と歯科医の義兄の家で、ぶらぶらしていた、Phillipは、この出来事をきっかけとして、自立することに決心する。
高級マンションのモデルルームに住む唯一の友人の所へころがり込んだPhillipは、Beatriceの事が知りたくて、こっそり、彼女の生活を監視する事にした。
プロバスケットの選手で、刑務所の慰問訪問を定期的に行っているBeatriceは、とても風変わりな祖母と曾祖母と共にくらしている。
彼女は、ヴェネズエラへ、植物採集へ行った際に、事故死した父親の事が忘れられず、現地人の言葉を独学で勉強しながら、いつの日か、父親が死んだ場所へ行くことを夢見ている。
実は、BeatriceもPhillipの事が気にかかり、こっそりと、後をつけていた事をPhillipに告白、そこで、二人は普通の幸せな恋人になるはずだったのだが・・・
ちょっと変わった恋愛小説。
Beatriceという女性に、恋して、彼女に引っ張られて、あちこちへ振り回されて行く、Phillipの様子が書かれているのですが、この小説に登場する作中人物は、皆、普通じゃない人ばかり。
Beatriceの曾祖母のAstridは、レジスタンスに参加した、豪傑な女性で、年老いた現在でも、しゃくしゃくとしており、自伝を全て、テープに吹き込んでからでないと、死なないと決心している。又、彼女は、自分の死の時期をコントロールするため、中国の哲学人のように、木の実を中心にした、食餌療法を実施している。
Beatriceの祖母のJeanneは、17歳で結婚、19歳で未亡人になり、強靭な意志を持つAstridの思いのまま、再婚する事なく一生を送ってきた。Jeanneの息子で、Beatriceの父であるWerner は、結婚するが、妻に捨てられてしまい、あげくの果てには、BeatriceをAstridとJeanneの元へ残し、アマゾンへ赴き、連絡を絶ってしまう。
そんなJeanneに、12歳の時から思いを寄せて、70年の間、彼女と一緒に暮らすのを待ち続けて、彼女と、その家族の経済面で全面的に世話をしている、ちょっとおかしい医者のDreyfuss。
私は、この、Dreyfuss おじさんが一番お気に入り。
とても複雑な性格を持つこの人物を、よくもここまで、表現出来たのか、と感心してしまいました。
ユーモアたっぷりな、二人の恋の道行き、それと、同時に、Phillip君の切ない気持ちが良く伝わってきた小説でした。
表現力に溢れている達筆の作家による、現実離れしている人ばかりが出来る、とても変わったラブストーリー。
一部、分かりにくい所もありましたが、全体的にテンポが良いので、すらすら読めました。
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