フランステレビ業界の裏側がちょっぴり覗けます
2006-03-08
Coup de coeur
「Saga」
著者 : Tonino Bénacquista
出版社 : Folio (Gallimard)
ISBNコード : 2070408450
表装 : ペーパーバック(2x1x18)439頁
| 本の内容 | ☆☆ | 17/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
「ごみ箱の中から拾ってきた」と、テレビ局のディレクターが思わず口をすべらせてしまった、そんな形容詞がぴったり来る様な、さえない4人のシナリオライタが、主人公。
テレビ局のディレクターは、パリのビルの1部屋へ集められた彼らに向って、1本52分、合計90時間のテレビドラマのシナリオを書く様依頼します。とにかく、出来る限り少ない予算で制作出来る様、
「このテレビドラマに使用するセットは2種類だけ、登場人物は全編を通して10人以内。1回に出演させるのは、6人を超えない事」
という条件付き。その代り、内容には一切制限なし。
なんせ、このテレビドラマは、フランス政府が、フランス文化を守るという名目で作った
「フランスの制作会社が作った作品を1定の割合で放映しなければならない」
という、法律を守る目的だけのために、制作され、夜中の4時から5時までに放映されるのだから。
とにかく、安く上げられば、後は誰も見なくても、おかまいなし、という訳。
ごみ箱行きをまぬがれた、旧式のAV機器に、ソファーセット、コーヒーの自動販売機が備え付けられた 部屋で、4人のシナリオライターは、ドラマのシナリオ作りに取りかかり始めます。
誰も見るはずのなかった、テレビドラマのシナリオ制作を通して、4人のシナリオライターの私生活が語られますが、それぞれ違った過去を持ち、秘密を抱えている、4人のキャラクターの描写は見事。
それと同時に、ドラマのシナリオも読めるので、一度に二つの話が楽しめるし、おまけに、フランスのテレビドラマ制作の楽屋裏も、ちょっぴり覗けます。
物語が、進んでいくにつれて、お話は、思いがけない方向へ、どんどんと展開していきます。
4人のしょうもない、シナリオライターが、誰も見るはずのなかったテレビドラマのシナリオ制作を通して、変わっていく姿を描いた、ちょっと風変わりなお話です。
テレビ業界、テレビ視聴者への風刺もたっぷり。
読み出したら、止まらない面白さ。
とにかく、Tonio Benacquista のストーリーテラーの才能には、脱帽。
ラストが、遊びすぎなのは、今一つリアリティーに欠けるけど、とても楽しめた作品でした。
この作品は、1998年「Prix des Lectrices de Elle」 に選ばれています。
Tonino Benacquista
- 「La boîte noire et autres nouvelles」

- 「La commedia des ratés」

- 「La Machine à broyer les petites filles」
- 「Malatavia」

- 「Malavita encore」
- 「La maldonne des sleepings」
- 「Les morsures de l'aube」
- 「Quatre romans noirs」

- 「Quelqu'un d'autre」

- 「saga」

- 「Le serrurier volant」
- 「Tout à l'égo」

- 「Trois carrés rouges sur fond noir」
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