文学へ贈られたの最高のオマージュ
2005-10-07
Coup de coeur
「Quatre soldats 」
著者 : Hubert Mingarelli
出版社 : Seuil,.Collection : Points
ISBNコード : 2020631199
表装 : ペーパーバック(11x1x18)208頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 18/20 |
| フランス語難易度 | # | 易しい |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
この物語の語り手は、ルーマニア軍、ポーランド軍に追われ退却するロシアの赤軍兵士、Benia。
冬の間は、身動きが取れないのため、彼が所属する隊は、森で、冬を越す事になり、兵士たちはグループに分かれて、各グループごとに冬の間住む小屋を建てることになります。
Benia は、機転が利く Pavel、力持ちで、ちょっと頭の回転が遅いウズベキスタン人の Kyabine 、慎み深くおとなしいけど、射撃の腕は抜群の Sifraと共に小屋を建て、そこで、彼らと共に冬を過ごします。
4人の兵士は、Pavelの知恵と、サイコロ遊びとたばこで、厳しい冬を乗り切ります。
やがて春が訪れ、4人は、冬の間彼らと同じ様に、森に立てた小屋で暮らしていた他の兵士達と共に 、森を離れ、テントで暮らす様になります。
そして、上官の命令で、戦闘前の短い休息を満喫するBenia達のグループに、ノートと鉛筆をいつも身から離さない、Evdokim という少年兵士が加わることになります。
最初は、Evdokim を警戒していた4人でしたが、やがて、文盲の彼らは、Evdokim に彼らの思い出を記録する事を依頼する様になります。
ちょっと、とぼけた口調で、淡々と、4人の兵士の日常が語られます。
かなり、厳しい、悲劇的な状況なのですが、Beniaの口を通ると、彼らが経験している辛酸は、全く当たり前の事のみたいに、
そして、現在の私達の生活から見たら、語るにも及ばない微々たる事が、とてつもなく貴重な物の様に思えてきます。
彼らが今までどんな悲惨な生活を送っていたのかが、行間からにじみ出てきて、胸を絞られる様な気持ちになりました。
だけど、この本を読んでいる間、
「地味で、取りたてた所のない、この小説がどうして、2003年のMedicisを受賞したの?」
という問いが、何度も、頭に浮かびました。
そう、ラストを読むまでは・・・
Mingarelliの作品は、いつもラストがいい、それが念頭にあったにもかかわらず、不意をつかれ、心が震えて、涙が止まらなかったラスト!
感動という言葉で、表現しきれない、思いを感じる事が出来ました。
文章を綴ることが出来るという事が、こんなに、贅沢な事だったなんて!今まで生きていて気が付かなかった!
今までずっと気づかずに生きて来たけれど、書くという行為は、人生の一番美しい時間を永遠に保存出来るって事だったのね。
文字を書けるという境遇に生まれた幸運を、この作品を読んで改めて、かみ締める事が出来ました。
この小説は、文学へ贈られたの最高のオマージュだと思います。
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