Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

歴史小説でゴンクール賞を受賞し、現在フランスのセネガル大使職に着く、医師のジャン=クリストフ・リュファン氏が手がけたSF小説

Coup de coeur

表紙写真 Globalia
   「Globalia」
 著者 : Jean-Christophe Rufin
出版社 : Folio
ISBN-10: 2070309185
ISBN-13: 978-2070309184
装丁 : ペーパーバック(11x3x18)498頁  


作品評価  : (4/5)
フランス語難易度 : (3/5)
読みごこち : (4/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



近未来を舞台としたSF。
地球は、国が消滅し、『Globalia』という世界に統合され、住民には、安全と経済的に恵まれ、自由で幸せな生活が保障されていた。 地球は、環境を尊重した、平和で安全な暮らしが尊重されている『Globalia』と呼ばれている、巨大な透明の覆いで保護された地域と、『Non-zone』と呼ばれている、環境が破壊させ、人間が住むのに適していない、無法地帯に分かれていた。

主人公のBaîkalは、この満ち足りたように思える『Globalia』に、説明する事の出来ないわだかまりを感じ、何度か、『Non-zone』への潜入を試み、何度か当局に捉えられた前科があった。 
Baîkalは、恋人のKateを誘い、最新設備の整ったトレッキング用の施設での、トレッキングを楽しむ事を装い、その途中、二人でこっそりと、グループと監視の目を逃れ、『Globalia』と『Non-zone』の境へ行き、『Non-zone』への潜入を試みる。

ところが、『Non-zone』に足を踏み入れ一夜を過ごした二人は、別々に、Protection sociale という、政府機関に捉えられてしまう。

駆け出しジャーナリストのPuig Pujols は、爆弾による無差別テロの現場に駆けつけ、運良く、爆弾を仕掛けた男たちの姿を納めた写真を手に入れる。 思いがけない特ダネを手にした事に有頂天になったPuigは、このネタを記事にするため、直接社長に掛け合うが、彼の思惑に反し、社長は彼を解雇する。
失意のPuigは、奇遇な経緯により、 『Walden』という読書サークルに参加する事になる。

そして、当局に捉えられた Baîkalに、『Globalia』を牛耳るRon Altmanという男は、思いがけない提案をする。

一方、当局に逮捕されたものの、前科がないため、そのまま釈放されたKateは、Baîkalの行方を捜すため、新聞社に尋ね人の告知を出す。
新聞社が、没にした、このKateの尋ね人の告知を、偶然、目にしたPuigは、Kateに逢いに行くことにする。

一方、Ron Altmanの提案を受け入れ、『Non-zone』へ足を踏み入れたBaîkalは、なんとか恋人のKateと連絡を取ろうとするのだが・・・


「Rouge Brésil」 で、ゴンクールを、「L'Abyssin 」でゴンクール・処女作品賞を受賞したジャン=クリストフ・リュファン氏が手がけた近未来を舞台にしたSF小説。

2004年に初版出版されたこの小説は、現在の国際社会を下敷きにして書かており、SFという形を取ってはいるものの、不思議なことに、ひどく現実味の感じられる小説です。

老いや病、戦争、貧困の悩みのない、人類の理想に近い社会である『Globalia』。
人類の平和を確保する事を可能にしたシステムを守るために躍起になる体制側の人々、そして、自由、真実を求めて、もがく人達、この対照的な二つのタイプの人々達の姿を鮮やかに描きながら、著者は、
『平和を保つためには、敵が不可欠』
という現代の人間社会が逃れることの出来ないジレンマを初め、現代社会が抱えている種々の命題や弊害に対する鋭い考察を展開させてゆきます。

以前に紹介した著者が手がけた歴史小説「Rouge Brésil」の様に、ストーリーは、堅固に構築されており、文章も、重厚でかつ躍動感に溢れており、かつ、ストーリー展開及び、作中人物の性格、心の動き、行動に全く無理が感じられないので、自然に作品にのめり込んで行くことが出来ます。

リュファン氏は小説は、全て読んでいるけれど、この作品は、私が今まで読んだリュファン氏の小説の中で、一番お気にいり。

SFとはいえ、文体、作品の構成に、格調がある作品なので、SFは、ちょっと・・・と、しり込み気味の純文学系の作品がお好きな方にも、お勧め出来る、そんな作品です。

現在の国際社会の動向を考えると、リュファン氏の先見の目に、畏怖の思いを感じずには入られません。

Jean-Christophe Rufin 氏の他の著作に関する記事は、著者別索引・小説【著者名S・T・U】を、ご参考下さい。

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もし、あなたの評価と違ったらごめんなさい。m(_ _)m


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