植物が動き出したら?! テンポのいいSFスリラー
2006-02-08
「Jardin fatal」
著者 : Patrick Cauvin
出版社 : LGF
ISBN-10 : 2253114030
ISBN-13 : 978-2253114031
表装 : ペーパーバック(11x18)313頁
| 本の内容 | ☆☆ | 15/20 |
| フランス語難易度 | #♯ | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
アメリカに本社があるマルチナショナル企業Remondに勤める生物学の研究者、Alainは、愛する妻Hélèneと4歳になる息子と幸せな日々を送っていた。
Alainの部下であり、友人でもある研究者Antoineの発案により、Alainは自宅のバラの木を使って、『超過保護ママ』と命名された実験をはじめた。
この実験は、「大地が、超過保護の母親のように、植物が自分から、離れて自立するのを妨げているので、植物は、この超過保護ママ=大地、の犠牲になっており、自立できない」、とのに仮説に基づき、植物を母なる大地から開放することを試みるという大胆な発想から生まれものだった。
数年間の研究の末、Antoineは、植物を大地から解放する可能性を持つ薬品を合成することに成功した。
アランは、深く考えずに、Antoineが合成した、薬品を彼の4本のバラの木のうちの1本に、毎日、吹きかけた。
数日後、Alainは、庭に、小鳥の死骸を発見し、妙な胸騒ぎに襲われる。そして、数日後には、頭が切断された小鳥の死骸が彼の庭で見つかる。
Alainの家に招待されたAntoineは、実験対象のバラの木の根の長さが、他の3本と比べて、異常に短いのを発見し、Alainに提示する。そして、小鳥の次は、Alainの飼い猫が首を絞められて殺された。
ついにある晩、息子のMax-Maxの叫び声に目を覚ました、アランが彼の部屋へ駆けつけると、Max-Maxの首には、何者かに、首を絞められた跡が。
そして、数日後、Alainは、問題のバラの木が、消えているのに気づいた。
とてもテンポが良くて、読み心地の良い、SFスリラー小説。
著者は、植物が動き出したら・・・という、ちょっと奇想天外な発想を、うまく料理して、読者を釘付けにしてしまう、SFスリラーに仕立て上げています。
バイオロジーが作品の核になっているのですが、学術的説明は、小説に信憑性を持たせるための最小限に抑えてあるので、その方面にあまり知識がない私でも、スラスラ読むことが出来ました。
深く考えないで始めた実験が、末には人類と地球の未来を根本から変えてしまう結末に至るまで、AlainとHélèneという、カップルのちょっと変わったユーモラスな私生活や、Alainの家族、そしてAntoineの回りに起こる事件をうまく、交差させた、サスペンス小説です。
この手のテーマは、ちょっと現実離れしているので、リアリティーを持たせるのが難しくて、ややもすれば、読者を白けさせてしまう事がありますが、著者は、なかなか達者な作品構成と、ユーモアたっぷりのエピソード、そして、スピード感があり、かつ簡潔で読みやすい文章で、読者を最後まで飽きさせることのない、エンターテイメントに仕立て上げています。
なかなか個性的な、洒落た、ウイットに溢れる文体で書かれた作品でした。
ストーリー、作品構成も大変良く出来ているので、映画化したら、面白いんじゃないかなぁと思いました。
この人の書いた別の作品が読みたくなりました。
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