モロッコが舞台の二人の男の友情の物語
2006-02-06
「Le dernier ami」
著者 : TAHAR Ben Jelloun
出版社 : Points (Seuil)
ISBNコード : 2020798328
表装 : ペーパーバック(11x1x18)147頁
| 本の内容 | ☆☆ | 11/20 |
| フランス語難易度 | #♯ | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
モロッコのTangerのフランス高校に通う、二人のティーンエージャー、Ali と Mamed は強い絆で結ばれた友達。女の子をナンパしたり、映画の話、政治の話をしたりして、楽しい時を過ごします。高校卒業後、Mamed はフランスの大学の医学部へ、Ali カナダへ映画の勉強をしに行くことになります。
大学の休みを利用して、帰国した二人は、反政府活動をしたとの理由で、警察に逮捕され、刑務所へ送られます。
刑務所でのつらい期間を、二人はお互いをかばうことにより、生き延びることに成功し、二人の絆はさらに強くなります。
やっとの事で、釈放され、自由になった二人。Ghitaという女性と結婚したMamed は、スウェーデンで医師としての職を得、モロッコを離れます。
Sorayaという裕福な女性と結婚したAli は、歴史の教師として、モロッコで就職します。
そして、離れていても、永続すると思われた、二人の友情に、次第に亀裂が見られ始めます。
この小説の語り手は、Ali 、 Mamed そして、二人の共通の友人 Ramon の3人。
第1章は、Ali から見た、Mamed が、第2章では、Mamed から見たAliが、そして、第3章では、Ramonから見た
二人の姿が、語られます。
同じ時代を同時に生きていたのに、Ali 、 Mamed が、持っている思い出には、微妙にずれが感じられます。でも、お互いをかけがえのない親友と思っていたことには、違いはありません。
ストックホルムに暮らすうちに、モロッコの政治、生活がいかに、秩序のないものであるのかに、気づき愕然とする
Mamed。 彼は、スウェーデンの政治、生活、人の暮らし方を賞賛の目で見ながらも、雑然としたモロッコに耐え難い郷愁を抱きます。
そんな、Mamed にたいし、Aliは、色々と日々頭を悩ませていることを並べ上げ、彼をなだめようとします。
そして、かけがえのない親友に対してMamed の取った意外な態度、そして、感動のラスト。
私は、子供の頃、漫画で、この作品とほんの少しばかり似たストーリーを読んだことがあるので、途中でラストが想像できてしまったため、私は、今ひとつ、感動できませんでした。(だって漫画の方のストーリーの方がずっと感動的だったのだもん。ちなみに、この、少女漫画、ストーリーは覚えているのですが、作品タイトルも、著者も覚えていません(T.T) )
この小説は、そんな二人の男の人生と友情に、絡め合わせて、現在、モロッコが抱えている、汚職、医薬品の不足、養子が法律では認められていない等の問題が提示されています。 私には、二人の友情より、そちらの描写のほうが、興味深く思えました。
本の最後の部分で、 Mamed の父親が次に様につぶやく場面が出てきます。
Tu sais mon fils, je fus tenté par la politique au moment de l'indepenedance du Maroc, mais je vis très vite que nous n'étions prêts pour l'exercice de la démocratie.
Je ne dis pas que nous méritons pas de vivre en
démocratie, mais nous avons besoin qu'on nous éduque, qu'on nous explique ce que c'est, nous avons besoin d'apprendre vivre ensemble.
La démocratie, ce n'est pas une technique, un machin qui vous permet de déposer un bullein de vote dans l'urne, non, la démocratie a besoin du temps pour s'installer, c'est une culture, ça s'apprend, nous on a oublié de l'inscrire dans notre programme.
息子よ、私はモロッコの独立時に、政治に首をつっこもうとしたことがあるが、私はすぐに、母国が民主主義を実施する準備が出来ていないことに気がついた。
私は、私たちの国が民主主義に値しないといっているわけじゃない。だが、民主主義というのが、どういうものであるのか、教育、説明してもらう必要が、共存することを学ぶ必要はある。
民主主義というのは、形だけまねすればいいというものではない、民主主義は、投票箱に選挙票を入れることを可能にする、それだけじゃないんだ。民主主義が、定着するためには時間が必要だ、民主主義は、文化であり、学ぶべきものであることを、わが国は、政治計画の中に書き入れる事を忘れた。
私は、この部分を読んだ時に、ふと、イラクの事を思いました。
二人の男の友情と、現在のモロッコが抱えている問題を描いた作品。
女性に対する描写があまりに表面的過ぎる点には、多いに不満が残りましたが、モロッコという国を理解する手助けになる本だと思います。
とても読みやすい作品でした。
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