フランスの女性政治家シモーヌ・ヴェイユ氏の自伝。
2008-07-10
「Une vie」
著者 : Simone Veil
出版社 : Stock
ISBN-10: 2234058171
ISBN-13: 978-2234058170
表装 : ソフトカバー(13x3x21)398頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(4/5)
読みごこち :(3/5)
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フランスの女性政治家シモーヌ・ヴェイユ氏の自伝。
建築家の父と、専業主婦の母、兄と二人の姉に囲まれた、裕福ではないものの、充実したニースでの生活を語った「Une enfance niçoise」
その後、ドイツ軍のフランス占領により始まったユダヤ人の弾圧下での生活、そして、ユダヤ人であるために、ナチスに捕らえられ、母と姉と共にアウシュヴィッツのユダヤ人強制収容所へ送られるまでの過程を描いた「La nasse」
ユダヤ人強制収容所での過酷な日々を語った「L'enfer」
強制収容所から開放され、パリでの新たな人生の出発を語った「Revivre」
夫の反対を押し切って、司法官としてのキャリアを踏み出した時代を語った「Magistrat」
妊娠中絶法を設定など、ジャック・シラク、レイモン・バール両内閣での保健相として活躍した時代について語った 「Au gourvernement」
欧州議会員及び議長としての任務を中心に展開する「Citoyenne de l'Europe」
欧州議会議員の任期を終えた後の心境を語った「Bis repetita」
フランス憲法評議会評議員時代について語った「Vu de Sirius」
フランス憲法評議会評議員退職の後、2007年の大統領選挙でニコラ サルコジー氏を支持した理由など、現在フランス政治についての思いを語った「Le mouvement」
現代のフランスにおける、ドイツ軍のフランス占領時代のユダヤ人弾圧にまつわる歴史の捉え方について見解を述べた「La lumière des Justes」
シモーヌ・ヴェイユ氏の5つの演説を収録した「Annexe」
以上の11のつの章と、補遺により、構成されている、フランスの女性政治家、シモーヌ・ヴェイユ氏の自伝。
政治家が書いた本には、全く興味がない私ですら、「この人の自伝なら読んでもいいんじゃないかしら?」と、読む気になった、フランスの女性政治家として、偉大な業績を成し遂げたシモーヌ・ヴェイユ氏が、自分の歩いてきた道を振り返りながら、過去、現在に彼女が出合った人々や出来事に対する見解を述べた自伝的エッセイです。
政治家の書いた本を読むのはこれが初めて。
この手の本は、かなり読みにくいのではないかと、かなり構えて読み始めたのですが、エンタメ本に比べると、いささか長めの文章が多くて、見慣れない単語の数も多少出てきますが、さほど苦労しないでも読めるそんな文章で書かれています。
ユダヤ人強制所での経験について書かれた下りは、決して感情に走ることなく、冷静な筆致でしたためられているにも関わらず、作り物の小説や、映画では味わう事の出来ないリアリティーと、深い洞察力に満ちており、読む人の心を打たずにはいられません。
そして、フランスの女性の条件を根本から覆した『ヴェイユ法』と呼ばれている妊娠中絶法の制定の楽屋裏を語った下りは、圧巻。 この法律の成立に関わる当時の複雑な事情が、明確かつ、迫力たっぷりに、描写されるので、私は手に汗を握りながら読みました。
又、しばしば現れる、著者が出合った政治家や、フランスの政治への、歯に衣着せぬ辛辣な批評なども、なかなか、面白く読む事が出来ました。
ただ、私は、第2次世界大戦後のフランスの現代史を熟知しているわけではないので、知らない固有名詞がかなり出てきたり、あまりピントこない下りも、かなりありました。
書かれている内容全てに、共感できるわけではありませんでしたが、本書を通して、フランスの政治に関しての知識を、かなり広める事が出来たような気がします。
扱われているテーマがテーマだけに、万人にお勧めできるタイプの本ではありませんが、内部から見たフランスの政治の一面を知ることが出来るので、フランス現代史に興味をお持ちの方には、お勧めできる一冊ではないかと思いました。





