フランス人によるザンスカール(Zanskar)でのトレッキング紀行記
2008-06-27
「Tibet sans peine」
著者 : Pierre Jourde
出版社 : Gallimard
ISBN-10: 2070119769
ISBN-13: 978-2070119769
表装 : ソフトカバー(14x1x21) 119頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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1980年、25歳の著者は、漠然とした冒険とチベットへの憧れを胸に、北インドからネパールにかけて、ラダック(Le Ladakh)を目指して旅行して以来、ヒマラヤに魅せられしまいます。
それ以後、計2回に渡り、違ったメンバーと共に、かつて、西チベットに属していたザンスカール(Zanskar)でのトレッキングに挑戦した、その旅程を語ったエッセイ。
タイトルに「Tibet sans peine」とあるので、チベット滞在の経験のあるフランス人のチベット問題への意見が述べられているエッセイ集かと思いがちなのですが、このエッセイ集は、北インドに位置する、ザンスカールに魅せられた一人のフランス人の、政治色のない、旅行記です。
標高5千メートルを越えるの高地を、寝袋と最低限の食料と衣料を携え、トレッキングした、無謀とも思える著者とそのグループの行程が、著者の過去2回に渡るザンスカール地方の旅行の思い出と重ねられながら語られてゆきます。
地図にある小さな点線を頼りに、石、岩、石しか目に入らない急な山道を歩き、雪や、吹雪の中を越え、ただ、無心に目的地を目指し、歩き続ける著者とその仲間達の姿が、覚めた口調で語られます。
ヒマラヤ山脈の息の止まるような美しい風景、厳しい自然の中、貧しい土地にへばりつくように暮している、痩せた体の、心豊かな人々、そして、それと対照的な、混沌としたインド市街の様子なども語られます。
こんな軽装で、まだ雪の残るヒマラヤのザンスカールをトレッキングするなんて、無謀だと、自負していた主人公が、寝袋さえ持たない軽装で、出来る限り多くのチベットのラマ僧院を訪問するため、ヒマラヤ山脈をたった一人で横断しているイギリス人女性に出会い、自分たちより、さらに、常軌をはずれた無謀な計画を頑な意思を持ち実行しているヨーロッパ人がいるのに驚く下りなど出てきたりして、読んでいる方もビックリ。
まあ、人それぞれ色々な生き方があるので、それはそれでいいとは思うものの、ひ弱な私は、呆れると同時に、この様な、ぶっ飛んだ計画を実行する体力のある人たちには、一種の羨望の念すら覚えました。
ノンポリで、現地の人々の厚意に、感謝するものの、彼らの過酷な生活条件に対しては、全く興味を持つ事なしに、たとえもない美しい景観に感動し、ただひたすら、歩き続ける事だけしか眼中にない、ノンポリの著者が、旅の最後に、ラダックのレー(Leh)を訪れた折、そんな苦労をしてまでも、訪れたくなるチベット文化は、西洋人の好奇心と中国の弾圧を国境の両側から受け、壊滅の危機にあると、述べるあたりには、現地に実際に足を踏み入れたものしか語りえる事のなり真実を感じられました。
チベットに関するエッセイ集を読みたいという方には、お勧め出来ませんが、ヒマラヤ山脈のトレッキング旅行記を読んで見たいとお思いの方には、お勧めできる一冊だと思いました。
最後に出版社の方に苦言。
この手の本に、地図が掲載されていないのは、はっきり言って致命的。
私は、地図を参照する事の出来ない、外出先で、この本を読んでいたので、この地方の地理に詳しくない私にとっては、分かりにくい事千万。
この手の本に、簡単な地図を掲載するように計らうのは、担当編集者としての最低の義務だと思うのですが・・・
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