3歳から120歳の、幅広い方にお勧めできるフランス漫画
2008-06-26
Coup de coeur
「Trois ombres」
著者 : Cyril Pedrosa
出版社 : Shampooing
ISBN-10: 2756004707
ISBN-13: 978-2756004709
表装 : ソフトカバー(17x3x23)269頁
全体評価 :(5/5)
ストーリー :(5/5)
グラフィック :(2/5)
フランス語難易度 :(1/5)
読みごこち :(5/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
草原に囲まれた一軒やで、優しいパパとママに囲まれ、幸せな毎日を送っていたJoachimは、ある夜、丘の上に、三つの黒い影の姿を目に留め、パパとママを呼ぶ。
Joachimのパパは、気のせいだと、影の存在を否定しようとしたものの、次第に影の存在が近づいて来たのを不安に感じたママは、パパに内緒で、町に住む占い師の所へ相談に行く。
占い師のところにママが行ったのを知ったパパは怒ル。そして、Joachimを三つの黒い影の手の届かない所へ連れて行こうと決心したパパは、Joachimを連れて、自分の生まれ故郷を目指して、長い旅に出る。
ラフなタッチで描かれた白黒漫画。
見方によっては、粗雑と、感じられるグラフィックに少々、戸惑い気味で読み始めたのですが、すぐに、作品の醸し出す魅力に飲み込まれてしまいました。
『死』という扱うのが大変難しいテーマを、おとぎ話という形を用いて詩情と情緒たっぷりに、描いた漫画。
決して優美とは言えないタイプのグラフィックなのですが、繊細な表現力に満ちている味のある絵。
そして、漫画化の仕方にも、リズム感とスピード感溢れています。
テキスト部分がほんの少ししかなく、絵で主人公の行動や、その動機付けを表現するスタイルの漫画なので、クラシックなBDが苦手な私でも、すらすら読む事が出来ました。
何しろ、愛想があまり良くないグラフィックなので、はじめ、この本を手に取て、ばらばらページをめくって見たとき、どうしてこの本がフランス漫画界の批評家から絶賛されていたのか良く分かりませんでしたが、読み終わってから、彼らの見解は最も、と大きく肯かされました。
身近な人の死という大きな困難を目の前にした人たちが、新しい一歩を踏み出す手助けになるかもしれない、そんな気がした大変貴重な一冊。
3歳から120歳の、幅広い方にお勧めできるフランス漫画でした。

(1/5)


