患者の尊厳をないがしろにする製薬会社と医師を告発したフランスの医療サスペンス
2008-06-12
「Mort in vitro」
著者 : Martin WINCKLER
出版社 : Pocket
ISBN-10: 2266141651
ISBN-13: 978-2266141659
表装 : ペーパーバック(11x1x18) 199頁
作品評価 :(2/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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薬理学の教授Pr.Seryexが、交通事故で死亡した。 不可解な事に、Seryex教授は、頭部にピストルの弾を受けたにも関わらず、時速140キロの速度で車を運転し続け、トラックに衝突したのだった。 Seryex教授の車の窓は閉まっており、窓ガラス及び車体に銃痕が見られず、教授の運転した車には、何者も乗っていなかった事が事故現場に居合わせた証人により確認されていた。 頭に銃弾を受けた被害者が、どうして数分間、車を運転し続ける事が出来たのか?
この事件を担当したJean Watteau判事は、頭を悩ませた。
一方、検死医の研修中の一般医、Charly Lhombeは、3人の妊婦が『placenta accreta』という大変稀な胎盤の異常発達による内出血が原因の死亡するという事件にぶつかる。 この大変稀な病気がどうして、立て続けに同じ町で起こったのか? おまけに、死亡した三人の女性は、健康に関して何の以上も見られなかった事に疑問を抱いたLhombe医師は、独自に調査を始める。
そして、この二つの事件が繋がりを見せた時、製薬業界を巡るスキャンダルが明らかになる。
Martin WINCKLER氏が先に執筆したPoulpeシリーズに登場する Charly Lhombe医師と、 Jean Watteau判事が活躍する、医学サスペンス小説。 以前に紹介した「Camisoles」の3年前に書かれた作品です。
「Camisoles」を読んだとき、登場人物たちの関係が今ひとつ飲み込めなかったので、手に取った作品。
著者の小説に、必ず登場する『Tourmens』という架空のフランスの地方都市を舞台に、これまた『WOpharma』という悪徳製薬企業が悪役として登場する医学サスペンスです。
先に、このブログで紹介した「Trois médecins」や「Camisoles」と同様、患者の人権をないがしろにする、医療関係者に対する批判をテーマにしています。
結果から述べてしまうと、この著者の作品は、ブログで紹介した2作以外にも何冊か読んでいる私にとっては、あまり楽しめなかった作品。
他の作品を読まずに、この作品を最初に読んだなら、違った感想を持ったかもしれませんが、著者の小説はどれも、同じテーマを扱っている上、作品の展開の仕方がワンパターンなので、作品の初めの部分をを読んだだけで、大筋が予想出来てしまい、これまた全く想像した通りにストーリーが進んで行くので、全く、わくわく感を味わう事が出来ません。
おまけに、作品の構成の仕方が単純で、登場人物の心理描写も大雑把なので、平易なフランス語で書いてあり、すらすら読めるのにも拘らず終わりまで読み続けるのが、しんどく感じられました。
興味深いテーマを扱っているだけに、サスペンス感と小説としてのふくらみの欠如が、ひときわ残念に感じられました。
しかしながら、気楽に読めるフランスの医療サスペンスを読んで見たいとお思いの方には、お勧めできる作品ではないかと思います。
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