Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

ヴァイキングの改宗に挑戦するオチこぼれ修道士の冒険を語った「Le Sept」シリーズ第4巻

Coup de coeur
「Sept missionnaires」

表紙写真 sept misionnaires
  ストーリー : Alain Ayroles
 作画 : Luigi Critone
 着色 : Lorenzo Pieri
出版社 : Delcourt
ISBN-10 : 2756006432
ISBN-13 : 978-2756006437
表装 : ハードカバー(23x1x32)56頁

全体評価 : (5/5)
ストーリー : (5/5)
グラフィック : (4/5)
フランス語難易度 : (4/5)
読みごこち : (4/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



四世紀のアイルランドが舞台。
北にある国からやって来たヴァイキングが、国土を荒らし、僧院を襲い、修道士達は皆殺しにされた。

ヴァイキング達のこの野蛮な行為に歯止めをかけるためには、ヴァイキングたちに神の教えを広めるしかない、と考えたアイルランド教会の大修道院長は、伝道師をヴァイキングの元に派遣する事にした。

だけど、無事に帰ってくる可能性がほとんどない、この使命のために、優秀な人材を送る事は避けたいと考えた大修道院長が、白矢を立てたのは、小さな修道院で、あまりに俗物的なため、常に騒動を起している、7人の修道士達だった。


4世紀のアイルランドが舞台の「Le Sept」シリーズの第4巻では、7つの原罪の『傲慢』、『憤怒』、『鬱(怠惰)』、『強欲』、『暴食』、『色欲』、『嫉妬』の虜になっている7人の修道士が、野蛮で凶暴なヴァイキングの改宗に挑戦する事になります。

この「Le Sept」シリーズの第1巻、「Sept psychopathes」も、とっても面白かったけど、この第4巻は、それに匹敵する秀作だと思いました。

まず、グラフィックが、とっても素敵。
人物の顔の描き方に、クセがない、どちらかというと日本人好みのタイプのグラフィック。 又、作中人物の性格や感情を十二分に読者に伝える力を持っている表現力に溢れるグラフィックです。

又、レイアウトの秀逸さに加え、背景の描き方にも繊細さが感じられます。 作中、ちらっと出て来るアイルランドの美しい風景には、うっとりとさせられてしまいました。 このグラフィックの美しさは、作画担当のLuigi Critone さんの実力は勿論のこと、着色担当のLorenzo Pieri さんのセンスと技術に負うところが多いと思いました。 シチュエーションや、作中人物の感情を見事に表現している、繊細な色使いは、グラフィックの魅力をさらに倍増させています。 こういう作品を読むと、グラフィックの魅力は、着色技術により、減少したり増大したりするものなのだと、改めて、感じさせられてしまいます。

4世紀が舞台という事で、私が今までお目にかかった事のない、単語がかなり出てきて、読み初めは、少々戸惑う事がありましたが、全体的に、とても読みやすく漫画化されていた作品。
分からない単語の意味さえ、調べれば、頭をひねらなくてもスラスラ読めるタイプの漫画です。

そんな、グラフィックよし、読み心地よしの作品なのですが、この漫画の一番の魅力は、そのストーリー。
この手のちょっと現実離れしているけれど、読むものを十二分に楽しませる魅力を持っているストーリーは、漫画のためにあるようなタイプのお話。
やっぱり漫画は、こうじゃなくては・・・

いやぁ、充分楽しんだ上、読んだ後、心がほんわかしてくるそんな素敵な余韻が残る作品です。

又、56ページという少ない枠で、7人の主人公の性格を描き切ることが出来たのは、凡人では出来る業ではないと、感嘆の念が洩れました。

ストーリー担当のAlain Ayrolesさん、作画担当のLuigi Critone  さん、そして着色担当のLorenzo Pieriさんへ、パチパチと拍手を送りたくなる、そんな、お茶目な魅力に溢れている、フランス漫画
日本でも是非紹介してもらいたい一冊です。
アニメ化したら、かなりイケル作品になるのでは、等とも思いましたね。

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