最新の医学技術の弊害を盛り込んだフランスのサスペンス小説。
2008-06-02
「Camisoles」
著者 : Martin WINCKLER
出版社 : Pocket
ISBN-10: 2266152777
ISBN-13: 978-2266152778
表装 : ペーパーバック(11x2x18) 281頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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Tourmens という架空のフランスの地方都市がこのサスペンス小説の舞台。
2008年9月、西部地方厚生局、局長のYann Derec の死体が妻により発見された。 死体の手には拳銃が握られていた事や、妻の証言から、この死は一見すると自殺のように思われた。
しかし、前厚生大臣と懇意だったDerec は、選挙により新政権が誕生した折、厚生大臣から、厚生局長の任を解かれた。 この解任を不当と思っていたDerecが、テレビ番組に出演する事を予定していた前日に、自殺した事は、誰の目にも不自然に映った。
その頃、Tourmensの腕利き捜査官として名の高い、Watteau 判事は、弁護士の殺人事件の現場検証の際に、階段から足を滑らして、怪我をしたため、自宅の城で療養を余儀なくされていた。 しかし、弁護士殺人事件とYann Derec の殺人を一人の判事が担当する事になり、Tourmensの援助が事件解決に必要であると考えた上司の要請を受け、Watteau 判事は、憲兵隊のHercé と共にDerec の事件の捜査を始める。
Watteau 判事の母のClaude de Lermignatは、テレビのリアリティーショーに出演中の女性司会者と女性精神科医が、愛人関係にある事を見抜く。 そして、突然司会者が番組を降板し、失踪したのは、精神科医が原因であると確信したClaude は、友人のRaoulと共に独自に捜査を進める。
一方、検死医のCharly Lhombre は、Tourmensにある隔離精神病院に、一般医として勤務する事を希望し、面接を受け、正式雇用の前のテスト勤務を始める。
医師であり、翻訳、執筆活動をしている Martin WINCKLER 氏の手によるサスペンス小説。
本書は、WINCKLER氏が執筆したサスペンス小説の『Poulpe』シリーズの作品。 というわけで、先に出版された作品に登場する人物が活躍するので、登場人物の関係など今ひとつ飲み込めない所があり、読み終わってから、出版された順に読んだほうか、より楽しく作品を味わう事ができたかもしれないと思いました。
以前、このブログで紹介した「Trois médecins」の舞台となったTourmensという架空のフランスの地方都市を舞台としたフィクションです。
現在のフランス政府の安全管理の方針対する危惧や、最新の医学技術がもたらす弊害を盛り込んだ、一味違った推理小説。
これは、シリーズの前作を読んでいなかったせいかもしれませんが、作中人物達の性格及び心理描写が希薄に思え、作中人物に魅力が感じられず、私は、今ひとつ感情導入する事が出来ませんでした。
又、現在の医療が抱えている問題点をうまく盛り込んだストーリ及び作品の着眼点は悪くないし、快適な読み心地のサスペンス物なのですが、全体的に造りが荒いという印象を受けました。
作品の構成の仕方が大雑把なので、緊張感が感じられず、いまひとつ、作品に乗り切れないまま、読み終わってしまいました。
今日的な興味深い題材を扱っているだけに、もっと細部に気を配り、丁寧に書き込んで欲しかったという不満が残りました。
上等のサスペンス小説とは言いがたい作品ですが、レポートや新聞記事、ビジネス書簡などが、効果的に作中、盛り込まれているので、豊富な種類のフランス語に接することが出来る上、読みやすいフランス語で書かれている小説です。 そんなわけで、フランス語中級以上の方の多読やフランス語の学力アップのための本としてもお勧めできるのではないかと思いました。
下記の著者のホームページでは、この作品の紹介がされています。
http://martinwinckler.com/article.php3?id_article=480
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