Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

シリアルキラーの異常心理にスポットを当てたフランスのホラー・サスペンス小説


表紙写真 ligne noire
   「La ligne noire 」
 著者 : Jean-Christophe Grangé
出版社 : LGF
ISBN-10: 2253116599
ISBN-13: 978-2253116592
表装 : ペーパーバック(11x3x18) 606頁  



作品評価  : (4/5)
フランス語難易度 : (3/5)
読みごこち : (4/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



腕ききカメラマンのVincentとコンビを組み、スターのスキャンダルを専門として、荒稼ぎしていたジャーナリスト、Marc Dupeyrat は、ダイアナ王妃の事故をきっかけとして、三面記事を専門とするジャーナリストに転向した。

学生時代の親友の自殺、婚約者の惨死を経験し、死やシリアスキラーに深い関心を持つMarc は、マレーシアでデンマーク人観光客を惨殺した容疑で逮捕された、元潜水チャンピオン、Jacques Reverdi の事件について興味を持ち、ルポを書くため調査にかかる。
 
調査を進めているうちに、Marc は、Jacques が、カンボジアで過去に同様の殺人を犯しているのに、裁判により無罪の宣告を受けた事実を突き止める。 Jacques の殺人の手口の異常さに興味を抱いたMarc は、Jacques にインタビューを申し込もうとするが、ジャーナリストはおろか、弁護士、精神科医や警察関係者に対しても口をつぐむ、刑務所に留置されているJacques と接触する事は不可能に思われた。 

過去に、Jacquesと唯一接触した事のあるカンボジアのプノンペン・ポストの女性ジャーナリストが、「私が女性であったから、Jacquesとインタビューする事が出来た」と、Marc に打ち分けたため、Marc は、女性になりすまし、Jacquesと接触する事を企む。 

Marc は、パリのキャンパスで女子大生の身分証明書を盗み、Elisabeth という心理学の学術論文を執筆中の架空の女性をでっち上げ、元マレーシアの刑務所に留置されているJacques へ手紙を送る。

そして、Marc の手紙は、毎日百通ものの、書簡を受け取るJacquesReverdiの目に留まり、Marc は、Jacquesの返事を受け取る。

Elisabeth になりすまし、Jacquesに手紙を送り、シリアルキラーの深層心理にせまろうと企んだMarc 。
しかし、Jacquesは、逆に、自分の秘密を彼女に明かす前に、彼女について知りたいと、要求し、血に関する彼女の記憶に関する奇妙な質問と、写真を送るようにと書かれた手紙を送り返してくる。

薬中の両親を火災で亡くし、モデルをしながら大学に通うKhadidjaは、オーディションの審査員の忠告に従い、オーディション用の『ブック(ポートレート写真)』を、撮り直すことに決めた。 
Khadidjaがカメラマンとして選んだのは、ファッション系カメラマンに転向し、成功を納めているMarc の元パートナーのVincentだった。
Vincentのスタジオに現れたKhadidjaは、そこで、Marc と出会う。 VincentがKhadidjaの写真を撮影している隙に、Marc は、ポラロイドで、こっそりと、Khadidjaの写真を撮影することに成功する。 

Jacquesの『秘密』を知ることしか目にないMarc は、女性の産婦人科医から仕入れた情報を元に質問への答えをしたため、Khadidjaの写真と共に、Jacquesへ送る。

そして、Marc の書いた『Elisabeth』の手紙を読み、『Elisabeth』に欲望を膨らませたJacquesに導かれるまま、Marc は、東南アジアに向けて旅立つ。


以前に紹介した「Les rivières pourpres」の著者Jean-Christophe Grangé  氏によるサスペンス小説。
「Les rivières pourpres」も、かなり良く出来たエンターテイメント・サスペンスでしたが、私は「Les rivières pourpres」より、面白いと思いました。

相変わらずの流れるような読み心地、そして、ラストまで、ぐいぐいと読者を引き込んで行く力に溢れているスリラー小説です。

この作品でも、Grangé氏の他の作品と同様、作中、かなり残酷なスプラッターシーンが出てきます。 以前、Maxim Chattamの作品で、慄いてしまった私ですが、Grangé氏の作品に登場する犯人に比べるとMaxim Chattam氏の犯人は、まだまだ、ソフトな部類に入るのではないかとすら思えてしまう、気持ち悪いシーンが、いくつか出てきます。 こんな事を考えられる犯人や著者は、ホント悪魔的としか形容しようがありません。

そんな、かなりグロテスクなシーンを織り込みながら、展開するサスペンスなのですが、その手の表現が苦手な私ですら、エンターテイメント・サスペンスの傑作と、認めざるを得ない程の迫力に満ちている作品でした。 

気持ち悪いシーンが出てきたら読むのを止めようと思いつつ、著者の仕掛けた罠にはまってしまい、読み始めたら、最後のページを読み終わるまで、本を手放せませんでした。(^^;)

全部で、506ページありますが、一つの章の長さが短くて、とても読みやすいフランス語でテンポよく書かれているので、スラスラ読めて、スピード感があるので、作品の長さなど気にする暇などなく、読み終えてしまいましたよ。

いささか深みに欠けるきらいはありますが、気軽に読める、フランスのエンターテイメント・スリラー小説の中では、トップレベルに入ると断言できる小説。

個人的な趣味に合わないので、  は、つけていませんが、グロテスクな描写が苦にならないスリラーファンの方には、自信を持ってお勧めできる、作品小説です。

一つの章の長さが短めで、読みやすかった作品なので、少々長めではありますが、多読用にもお勧めできる作品なのではないかと思います。

著者のサイト
http://www.jc-grange.com/
又、下記のサイトでは、著者のインタビューを読む事が出来ます。
http://rivieres.pourpres.free.fr/interview/interview_1.htm#part1


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