ノイローゼの母を持った一人の女性の苦悩を描いた中編小説
2008-05-05
「La donation」
著者 : Florence Noiville
出版社 : Stock
ISBN-10: 2234059038
ISBN-13: 978-2234059030
表装 : ソフトカバー(12x1x16)236頁
作品評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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両親から生前贈与を受けるため、トゥールに赴いたヒロインは、ノイローゼを病んでいた母親のせいで、苦しんだ幼年時代を振り返る。
そんなヒロインのモノローグで占められらた中編小説。
ノイローゼを病んだ祖母、そして母親という、重い遺産を受け継いでしまったヒロインの心の葛藤が、苦い幼年時代の思い出と重ねられて語られます。
フランスの現代小説に多い、この手のモノローグ小説には、取りとめもない文章がだらだらと続くものが多く、途中で投げ出したくなる事が良くあります。
しかし、この小説は、ひとつの章の長さが短く、一つの思い出をコンパクトに、一つの章にまとめて語ってあるので、大変読みやすく、かつ、分かりやすかった作品でした。
精神を病んだ母と彼女との忌々しい思い出、そして、自分がその母親と同じ血を受け継いでいるという事実の認識などが、静かな口調で語られてゆきます。
この作品の凄いところは、ただうらみつらみを綴っただけに終わらない所。
終盤に出て来る、ヒロインに、過去に精算をつける事を決心させた友人の言葉は、ズキット心に突き刺さりました。
心の持ちよう一つにより、こうも人生に対する見方が変ってくるのかと、目を開かされる思いを味わいました。
幼年時代の辛い思い出がトラウマとなっている方に、お勧めしたい作品です。





