ダニエル・ぺナック氏の2007年ルノドー賞受賞作品
2008-04-28
「Chagrin d'école」
著者 : Daniel Pennac
出版社 : Gallimard
ISBN-10: 2070769178
ISBN-13: 978-2070769179
表装 : ソフトカバー(14x2x21) 307頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(4/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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元落ちこぼれを自称、公言している、フランスの人気作家で、かつて国語教師だったダニエル・ぺナック氏の、落ちこぼれと学校に関するエッセイ。
この作品は、小説でない上、最終候補からはずれていたにも関わらず、2007年のルノドー賞を受賞しました。
フランスの文学賞には、あまり一般大衆に知られていない作家をバックアップして、世間に知らせる事を目的にしている事もあるので、すでに人気作家としての地位を確立しているぺナック氏の著作であり、発売と同時に売り上げナンバーワンに躍り出た本作に、ルノドー賞を与えた事を疑問視する声が、かなり聞かれました。
フランスの学校は、優秀な生徒とそうでない生徒のより分けをする事には長けているけれど、出来の悪い生徒に対するケアーがおざなりになりがち。 そんな背景を踏まえ、授業についてゆくことが出来ずに落ちこぼれてしまった生徒を救い上げて、群れに合流させる事の大事さにアクセントを置いて書かれた自伝的エッセイです。
軍人を父親に持ち男4人の兄弟の末っ子として生まれた著者は、優秀な3人の兄とは大違いで、幼少の頃から、勉強が苦手で、アルファベットの一番初めの文字Aを覚えるのに丸一年かかり、26年経てば、アルファベット全部マスターできるようになると言われた程、勉強が苦手だった
というエピソードや、
「兄弟みんな出来がいいのに、どうして僕だけが馬鹿なの」
と、彼の面倒をよく見てくれるお兄さんに尋ねたら、
「6歳の時に当時父親の任地だったジブチのゴミ棄て置き場に落ちたからだ」
と、お兄さんに答えられた、
等々の、抱腹もののエピソードや、そんな彼の落ちこぼれ人生を変えた国語教師との出会い、そして、教師時代の数々のエピソードを交えながら、落ちこぼれ生徒の心理や、フランス語文法嫌いの子供たちへ著者が試みた療法などについて、ウイットたっぷりに語られます。
ただ、この本は、フランスの読者に向けて書かれているので、Capès(Certificat d'aptitude au professorat de l'enseignement du second degré=中級教員資格)、Agreg(Agrégation =上級教員資格)、hypokhâgne(『École normale supérieure(高等師範学校)』受験準備を目的とする人文系2年制大学の一年生)等、フランスの教育制度についての深い知識がないと理解不能な単語が出てきたりするので、日本とはかなり違い、かつ複雑なフランスの教育制度について、ある程度の知識がないと、この本を完全に理解するのは難しいと思います。
又、フランス語特有のレトリックが駆使されているので、フランス語初級、中級者には、少々読みづらいのではないかと思われる下りがかなりあります。
それでも、学校教育に関する、多くの興味深い示唆を含んでいる本なので、教育に関心をお持ちの方に、お勧めしたい一冊です。
下記のサイトでは、著者が本書の一部を朗読しているヴィデオを見ることが出来ます
http://www.telerama.fr/livre/20939-daniel_pennac_lit_un_extrait_de_cancre_ecole.php
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