Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

ペルシャ帝国イスパハンを舞台にしたスケールの大きい歴史冒険小説


表紙写真 Sauver Ispahan
   「Sauver Ispahan」
 著者 : Jean- Christophe Rufin
出版社 : Folio (Gallimard )
ISBN-10: 2070414183
ISBN-13: 978-2070414185
表装 : ペーパーバック(11x3x18) 643頁  

作品評価  : (4/5)
フランス語難易度 : (4/5)
読みごこち : (4/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



この小説は、1721年8月のペルシャ帝国で、幕を上げる。

紆余曲折を経て、愛するAlix と供に、 ペルシャ帝国のイスパハンに落ち着いた薬剤師のJean-Baptiste Poncetは、子供たちに囲まれ、平穏な暮らしを送っていた。

ある日、Jean-Baptiste Poncetは、政府高官より、呼び出される。

Kachanで、スパイの疑いのある男装をした女性が捕まえられたが、この女性は、尋問に対し口を閉ざし、何も答えない。彼女を死刑をする前に、彼女がスパイであるという証拠ならびに、その意図を突き止めなければならない」

との政府高官の言葉を聞き、いぶしがる、Poncetに、彼は、

「彼女が、尋問の際に、Jean-Baptiste Poncetを知っていると、もらした」

と、明かし、Poncetに Kachanへ赴き、問題の女性を尋問し、彼女の真の意図を突き止めるよう、要請する。

そして、Kachanへ赴き、問題の女性に出合ったJean-Baptiste Poncetは、彼女が彼のエジプト時代の友人のFrançoiseである事を知る。
Françoiseは、ロシア軍に囚われの身となっている彼女の夫で、Poncetの友人であるJuremiを、Poncetの力を借りて、助けようと画作し、男装して、イスパハンへ向かうところだったのだ。

そして、囚われ身のFrançoiseを残し、Françoiseと、Juremiの二人の命を救う決意を胸に、Poncetは、イスパハンへの帰路につく。

常套手段を使っては、Françoiseの命を救う事が、不可能なことを悟ったPoncetは、

Françoiseが、実は、かつて、ヨーロッパで大きな権力を持っていたジュリオ・アルベローニ 枢機卿の愛人だ。

という、嘘を、彼に任務を託した高官に、吹き込む。

ジュリオ・アルベローニ 枢機卿の愛人を自分の手中に納める事が、自分にとって有利になると判断した高官は、内密に、Françoiseをイスパハンへ護送し、Poncetの家に匿うことにした。

又、それと同時に、Poncetは、薬剤の調合をする上、欠かせないアシスタントがロシアにいるため、彼を迎えに行かねばならない、という口実で、ロシアまでの道のりに必要な許可書を手配し、Juremiを迎えに、旅に出る手はずを調えた。

しかし、Poncetは、彼の薬剤師としての腕前を見込んだ Hussein王から、3ヶ月の間、彼の宮殿に留まり、治療することを命令されてしまう。


ゴンクール賞処女作賞を獲得し、ジャン=クリストフ ・リュファンの名を一気にフランス文壇に広めた「L'Abyssin 」の後日談。
この作品は、「L'Abyssin 」から20年後という設定になっています。
「L'Abyssin 」で、活躍した人物が登場しますが、独立したお話となっているので、「L'Abyssin 」を読んでなくても、楽しめる事が出来ると思います。

作品の巻末に記載されている『A propos des sources de L'Abyssin et de Sauver Ispahan』と題された、あとがきの中で、著者は、この作品および、「L'Abyssin 」は、実際に起こった事実のみを脚色しながら、歴史を忠実に再現した歴史小説ではなく、歴史のくぼみに位置する冒険小説であると、述べています。

史実を尊重しながら、想像力を自由に働かせ、実在した人物と架空の人物を混ざり合わせ、描かれた歴史冒険小説。

崩壊直前のペルシャのイスパハンを中心に、中近東から、アルメニア、ロシア、中央アジアのステップと、ユーラシア大陸を舞台に繰り広げられる、スケールの大きい作品です。

陰謀と、策謀、戦い、権力闘争、冒険、友情、恋愛、等々が要所に、適度に配置された、巧みで、きめ細やかなストーリー構成。

又、彫りの深い人物描写、細かいところまで、きっちりと書き込んである、調度品や、風景などの背景の描写の仕方などにも、文学的品位が感じられます。

又、歴史物のため、日常あまりお目にかからない単語が時折顔を出しますが、一つの章の長さがそれほど長くなく、場面展開が早いので、読み心地もまずまずでした。

「L'Abyssin 」がお気に入りの方、又は、読み応え抜群の歴史小説をお求めの方には、自信を持ってお勧めできる作品だと思います。

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