Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

「クリムゾン・リバー」のタイトルで映画化されたフランスの推理小説


表紙写真 rivieres pourpres
   「Les rivières pourpres」
 著者 : Jean-Christophe Grangé
出版社 : Livre de Poche
ISBN-10: 2253171670
ISBN-13: 978-2253171676
表装 : ペーパーバック(11x2x18)410頁

作品評価  : (4/5)
フランス語難易度 : (3/5)
読みごこち : (4/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



スーパー刑事として評判の高いPierre Niéman刑事は、特殊な刑事としての嗅覚と抜群の行動力を持っていたが、暴力的な衝動を抑える事が出来ず、犯した数々の暴力ざたのため、パリのサッカースタジアムの警備に回されていた。
サッカーの試合の後、観客の間で乱闘が起こり、Niémanは、イギリス人フーリガンが殺人を犯す現場を目撃し、犯人を逮捕する際に、重症を負わせてしまう。

彼の上司は、メディアとイギリス政府関係者から彼をかばうため、フランス南西部の山岳地域に位置するグルノーブル近郊の猟奇殺人事件を担当するよう、Niémanをイゼール県へ送る。
山の上の岩の間に、裸体で胎児のような姿勢で、挟み込まれていた被害者の死体には、無数の拷問の後が見られたことから、シリアルキラーの犯行ではないかと断定された。

一方、フランス南東部にある、ロット県に派遣された、パリ近郊出身のマグレブ系のKarim Abdouf 刑事は、何もない退屈な田舎の勤務に、物足りないものを感じていた。
ある日、小学校に空き巣が入るという事件が起こる。 手口からプロの仕業だと判断された。 又、同じ時期に、村の墓地が荒らされるという事件が起こる。
墓がユダヤ人のものだったことから、Karimの上司は、スキンヘッドの仕業だと断定したが、独自に捜査を進めたKarimは、この墓荒らしと、小学校の侵入窃盗事件が同人物の犯行であり、その裏には、大きな秘密が隠されている事を掴む。

そして、この何の関係もないように思われた、二つの事件が交差し、二人の刑事は、捜査を進めて行くうちに、30年以上の間、隠されていた秘密に近づいてゆく。


フランスのスリラー小説の名手、Jean-Christophe Grangé 氏の名前は、以前から良く耳にしていて、前々から読んでみたいとは思っていたのですが、Grangé氏の作品には、かなりグロテスクなスプラッターシーンが出て来るというので、その手の描写がとっても苦手な私は、今まで、Grangé氏の作品を手に取る勇気が出ませんでした。

ミステリーの傑作とフランスの批評家の賛辞を集めた「Le vol des cigognes」も、かなり前から本棚にあるのですが、
「とてもよく出来たスリラーだけど、かなりグロテスクなシーンが出て来るので、絶対君は読まないほうがいいと思う」
という忠告に従い、いまだにページを開いた事がありません。、{{{{(+_+)}}}} ブルブル。

フランスで大好評を得、ジャン・レノ主演、マチュー・カソヴィッツ監督で、映画化もされた、この作品も、かなり長い間、躊躇していたのですが、
「なかなか、良く出来たスリラーだった。 映画はちんぷんかんぷんだったけど、小説の方はとっても良かったよ。 かなり、えぐいところがあるけど、飛ばして読めばなんとかなるんじゃないの」
という、アドヴァイスを頼りに、心の準備をしてから、読んでみる事にしまいした。

スリラーや、ホラーは大好きなのだけど、残酷シーンがとっても苦手な私は、この手の本を読む時には、本当苦労します。
大体の本の場合、「おっ、そろそろ来る」、という時に、問題となりそうな数行を飛ばし読みするという技が使えるのですが、中には、前触れがなかったり、どうしても読まないと後の成り行きがつかめなかったりする本があって、その手の描写を読んでしまった後は、1週間ほど悪夢にうなされるはめになってしまいます。

と、話がずれてしまいましたが、この作品、そんな躊躇を振り払って読んでみて、良かった!
と、つくづく思った、ミステリーの傑作。
疾走感のある文章で、謎が次第に明らかになってゆくその様子が息詰まる緊張感たっぷりに描かれます。

ストーリーを進めてゆく上で不可欠ではない、グロテスクな描写があったり、作中人物の内部描写が希薄、それまでの充実さに比べるとラストが弱い、などの瑕瑾はありますが、今まで読んだ、フランスの推理小説の中では、ハイレベルにの作品だと思いました。

「L'attrapeur d'ombre」 や、「La quatrième plaie」 を読み終わった時の様な衝撃は受けませんでしたが、ストーリー構成と、叙述の仕方がとても上手いので、最後のページを読み終わるまで、読者を放さない、そんな力を持っている作品です。

推理小説は、昔から沢山読んでるので、どれを読んでも、途中でネタが分かってしまったり、どっかで読んだタイプの話じゃないの・・・と、食傷気味の私ですが、この作品は、そんな事、思う暇もなく、興奮して、一気に読みきってしまいました。

フランスの推理小説は、読みにくい、面白くないと、お思いの方に、だまされたと思って読んでみて、とお勧めしたい一冊です。
でも、かなり、グロテスクな描写が出て来るので、その手の表現が苦手な方には、お勧め出来ません。

この作品は、「クリムゾン・リバー (創元推理文庫)」のタイトルで邦訳が出ているようです。

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