5年に渡る路上生活経験を語った自伝的漫画
2008-04-03
「Amères saisons」
著者 : Etienne Schréder
出版社 : Casterman
ISBN-10: 2203396385
ISBN-13: 978-2203396388
表装 : ハードカバー(17x2x24)223頁
全体評価 :(3/5)
ストーリー :(3/5)
グラフィック :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
1979年のベルギーのブルッセルで、この漫画は幕を上げる。 大学の法科を4年目で中退し、ブリュッセルの刑務所で、書記として勤務する主人公は、仕事中も酒瓶を手放すことが出来ないほど、アルコールに頼り切っていた。
そして、彼は、仕事中に犯したミスが原因で、刑務所長から圧力を欠けられ、辞職する事を余儀なくされてしまう。
退職後、ぼろぼろになった主人公は、身分証明書を破り、運河に投げ捨て、自分も運河に身を投げようと決意するが、実行する事を思いとどまる。
ギターを抱えて当てもなく町をうろつく主人公は、Goupilという路上生活者と出会う。
それ以降、1984年まで、ブリュッセル、アヴィニョン、ニース、パリなどの街を路上生活者として、渡り歩いた著者の自伝的漫画。
白黒で書かれた全部で223ページあるBD。
細密なタイプの絵ではなくて、どちらかというと、ラフなタッチで描かれた絵なのですが、しっかりとした基礎デッサン力が感じられる上、考え抜かれたページレイアウトで構成されている、なかなか凝った作りの漫画です。
シチュエーションに合わせて、異なったデッサン手法やレイアウトが用いられているので、リズム感が感じられる上、登場人物の心模様がビシバシ伝わってくる、作品に仕上がっています。
ストーリーは、主人公が、5年に渡り、あちらこちらの町を仲間達と彷徨ったり、アルコール中毒治療施設を出たり入ったりする、そんな様子を淡々と語ったもの。
これは、著者の体験が元になっているとの事ですが、自分の恥じずべき過去をこれだけ、冷静に中から分析し、バンド・デシネというフィルターを通して浄化し、表現する事を可能にした、著者の頭脳の明晰さに、驚かされました。
ほぼ200頁に渡り、アルコールから逃れることが出来ず、路上と治療施設を行ったり来たりする、著者の様子を内面から見た様が描かれているので私は、読んでいて、辛くなってしまいました。
漫画を描く事により、アルコールから逃れることが出来たと書かれていたラストには、思わず、涙がほろり。
過去の自分をこれだけ、切り離して、一つの作品に仕上げてしまう事が出来る、著者の過去を克服した自信が、おのずとから感じられる作品でした。
「Cité obscure」シリーズの作画担当のFrançois Shuiten氏が、作品の初めに、序文を寄せています。
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