自分の殻に籠った少年の内面を描いたフランスの現代小説
2008-03-28
「José」
著者 : Richard Andrieux
出版社 : Héroïse d'Ormesson
ISBN-10: 2350870596
ISBN-13: 978-2350870595
表装 : ソフトカバー(14x1x21) 118頁
作品評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(2/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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9歳になるJoséは、彼が1ヵ月半の時に父親が死亡したため、母親と二人で暮らしている。
女性としての魅力に欠けているわけでない、Joséの母親に思いを寄せる男性はいるけれど、Joséの事で頭がいっぱいの母親には、恋する余裕はまったくない。
友達と外で遊ぶのより、自分の部屋で空想にふけっているのが好きなJosé は、回りの物に、新しい呼び名をつけるが趣味という大変変った癖を持っている。
José は、ベッドの事を『Voyage』、勉強机は『chêne』、天井を『nuage』、冷蔵庫の事を『Pingouin』と呼び、毎日彼らに話しかけている。
息子のこの奇癖を心配した母親は、主治医に相談を持ちかける。
主治医のアドヴァイスに従い、母親は、José に毎週、子供専門の精神分析医の診察を受けさせるが、Joséは、この分析医が嫌いで仕方がなく、決して彼女に心を開こうとしない。
母親のために、学校には行くものの、友達に決して心を開こうとしない José は、学校が苦痛で仕方がないし、成績も振るわない。
そんな José は、新しい名前を付けた自分の部屋の家具などと、言葉を交わすのが、彼にとって最も充実している時間。
辞書に載っている言葉に、自分なりの新しい名前を付ける遊びを考え付いた、Joséは、自分の殻に閉じこもり、母親と口を聞くのをやめる様になる。
そして、Joséのそんな態度に、絶望した母親は、病気になってしまい、職場を休んだため、解雇されてしまう。
とても易しく、優しいフランス語で綴られた、中編小説。
1章の長さが大変短いくて、読みやすい作品なので、あっという間に読み終わってしまいました。
優しい言葉で、空想癖のある一人の男の子の胸をうちが、刻々と語られてゆきます。
彼の心の内と、彼を取り巻く人々の心の内が手に通るように、伝わってきて、思わず、心を抉られるような気持ちになりました。
自分の殻に閉じこもる男の子の心理を、分析したり、説明したり、批判することなしに、彼が感じたままに書き綴っているところが、とてもいいと思いました。
著者は、シンガーソングライターが本業だそうですが、こんな素敵な小説を書く人の歌も是非聞いてみたいなぁと思いました。





