虚構と現実が交差する奇妙なフランスの現代小説
2008-03-25
「Coeur de pierre」
著者 : Pierre Péju
出版社 : Editions Gallimard
ISBN-10: 207078102X
ISBN-13: 978-2070781027
表装 : ソフトカバー(14x3x2)300頁
作品評価 :(2/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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失職し、妻には逃げられ、家具を売り払ったがらんどうのアパートで暮していた、Schulz は、家賃を長期に渡って滞納していたため、アパートを追い出される。
わずかばかりの身の回りの品をかき集め、唯一、彼に残されたおんぼろ車に乗り、当てもなくドライブをした、Schulz がたどり着いたのは、おんぼろキャンピングトレーラーが混在している空き地だった。
哲学の授業で、学んだ 『人間の運命はすでに定められている』
という言葉にショックを受けた、優等生のLeïla。
マグラブ系の貧しい両親の間に生まれ、貧乏人の集まるパリ郊外の団地に育った Leïlaは、自分の運命から逃げ出すために、全てを捨てて、幼馴染のKarimの誘いに乗り、南を目指して旅に出ることを決意し、リックに身の回りの物を積め、家を後にする。
フランスのとある田舎にある、瀟洒な館に住む作家の Larsenは、妻に去られてから、執筆に手がつかない。 彼の屋敷の敷地に住宅地を作る計画を持つ不動産屋に屋敷を売却する事に決めたLarsenは、家具を捨て値で村人達に売り払ったが、蔵書を売ることに躊躇いを感じずにはいられない。
かつて関係のあった女友達たちに、蔵書を分割して保管してもらう事を思い立った Larsen は、箱に詰めた本を見にトラックに積み、女友達たちの家へ、せっせとは運び込むのだが、Larsenの妻の失踪を不審に思っている村人達の間に、奇妙な噂が飛び交うようになった。
そんな3人の人生が虚構と現実の壁を越えて交差する様子を描きながら、小説家は石の心を持つ定めにあるという事を説いた、奇異な小説。
特異なプロットがこの作品の魅力。
そんな訳で、この作品の面白さを語るには、そのプロットに言及しないわけにはいかないのですが、それをしてしまうと、作品を読む楽しみが殆どなくなってしまうため、あえて、ここで、それに触れることは避けることにします。
結果から言ってしまうと、素晴らしいアイデアが消化不足になってしまっているため、フラストレーションが残ってしまった作品。
人間の心の中にひそんでいる狡すからい部分にアクセントを置いた、だらだらとした心理描写や、エゴイスト的な作中人物たちの行動に、辟易しながらも、ラストに心を揺さぶられる何かがあるのでは、と期待して読み進んでいったのですが、なんとも締まりのないラストに、大きな失望を感じずにはいられませんでした。
こんな素晴らしいアイデアなら、もっともっと素敵な作品を書くことが出来たのに・・・
と、上等で新鮮な生のトロが手に入ったのに、多量のべたべたとしたオイルで、かちかちに焼き上げてしまったのを、食べさせられてしまった、そんな感覚を受けた作品でした。





