自信を持ってお勧めできるフランスのサスペンス小説
2008-03-12
Coup de coeur
「Venge-moi」
著者 : Patrick Cauvin
出版社 : Albin Michel
ISBN-10: 2226177108
ISBN-13: 978-2226177100
表装 : ソフトカバー(15x3x23) 376頁
作品評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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1960年代のパリが舞台。 心理学の教鞭を大学で取っている主人公、Simonは、死の床にある母から、彼女達がユダヤ人である事をゲシュタポに密告した犯人を探し出し、復讐する事を誓わされる。
Simonの母は、ユダヤ人強制収容所の生き残りだったのだ。 強制収容所から帰ってきた後、彼女は、田舎に疎開していたため、収容所行きを免れたSimonを一人で育てた。
Simonが、母の願いを聞き届けた後、母は息を引き取る。 母が彼に残した密告者の唯一の手がかりは、彼女が Olivia Clampという名で、かつて、母親たちが住んでいた建物の向かいに住んでいたという事実と、母とOlivia が一緒い映っている一枚の古い写真だけだった。
母の願いをかなえる事に、躊躇いを感じつつ、母の残した古い書類を整理しているうちに、Simonは、若い頃のOlivia が映っている一枚の写真を見つける。
小さな村の広場で撮影されたと思われるその写真の背景には、戦死者のモニュメントとカフェが写っていた。
そして、Simonは、写真に写っていた古いカフェの看板に刻まれた『Café dela Semois』という表記を頼りに、Semois川沿いの村を訪れる事を決心した。
このブログで何度も紹介しているPatrick Cauvin 氏が2007年に発表した作品。
Cauvin 氏の作品には、軽快な調子で語られた作品が多いのですが、この作品は、重苦しい、雰囲気の中、陰鬱な主人公のモノローグで作品が始まります。
初めの50ページは、あまり話しの行方がつかめず、少々戸惑いながら、ページを捲りましたが、母親の死の場面から、一気にストーリーは、加速し、背筋が寒くなるような、衝撃のラストまで読者を引きずり込んでゆきます。
筋を楽しむタイプの小説を沢山書いてきた著者が、主人公の心理描写にスポットを当て、描いた作品なのですが、だからといって、ストーリーがないがしろにされているわけではありません。
ラストまで読むと、それまで気づかなかった伏線が頭の中で浮上して来るという、良く出来た推理小説を読み終わったような醍醐味を味わう事が出来た作品でした。
この手の小説は、ネタをばらさずに、作品の魅力を伝える事がとっても難しいので困ってしまいます。 こう書くだけで、読むときの楽しみがちょっとばかり減ってしまうような気がします、ごめんなさいm(_ _)m)
はじめは、ちょっとしんどいけど、最後まで、読んで見て下さい。
きっとあなたの苦労は報われることと思います。
この小説は、私がいままでに読んだCauvin氏の作品で、一番評価している作品なのですが、Cauvin氏の他の著作の様に、読んだ後、『気分爽快、幸せ!』になるタイプの本ではないので、そんなタイプの本を読みたい時には、あまりお勧め出来ません。 しかしながら、私としては一押し、お勧めしたいお気に入りの作品です。
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