ブラジルの独裁軍事政権下の若者たちの姿を描いたフィクション
2008-03-06
「Dans l'ombre du Condor」
著者 : Jean-Paul Delfino
出版社 : Editions Métailié
ISBN-10: 2864245760
ISBN-13: 978-2864245766
表装 : ソフトカバー(14x2x22) 311頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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1960年代のブラジルが舞台。
ラジオ局の局長のBartolomeu Zumbi と、レコード会社の社長のJoào Domar de Cunha は、強い友情で結ばれている長年来の親友。
大学の建築学部に通う、Bartolomeu Zumbi の一人娘16歳のLucinaは、音楽と政治に強い感心を示し、現在のブラジルの政治のあり方に疑問を抱き、政治改革を目指す、政治運動へ参加する。
一方、新聞社で働く、Joào Domar de Cunha の息子、Paulinho は、アメリカ大使の秘書官の娘 Wendyに一目ぼれしてしまう。
1ヶ月の間、彼女の尾行を続けていた Paulinhoは、Wendy も彼の事を想っていた事を知る。 しかし、非白人で、貧乏な Paulinhoが、Wendyの父のお目に適うはずがなく、二人は、父親に隠れて逢瀬を重ねる。
その頃、アメリカの、ケネディー大統領は、キューバが共産主義に傾いた事から、南アメリカの共産主義化を懸念し、CIAを通して、革新派の現在のブラジルの大統領を失脚させ、ブラジルにアメリカの思い通りになる、政府を政権につけさせる事を目的とした『コンドル作戦』を執行することに決定する。
そして、ブラジルでの、この『コンドル作戦』の執行のため、選ばれた、Wendy の兄 Oswald は、Paulinho に、金持ちになり、彼の父親に認めてもらえるチャンスを彼に与えると言い、Paulinho に、この秘密任務に加担するよう、持ちかける。
この作品は、著者が執筆中のブラジル3部作の第2弾にあたる作品で、「Corcovado」の後日談になるという事です。
私は、「Corcovado」を読まずに、いきなり、この作品を手に取りましたが、全く違和感を持たずに、作品を堪能する事が出来ました。
(どういうわけか、「Corcovado」は、図書館に入っていないのです?!)
アメリカ政府のバックアップにより、誕生したブラジルの独裁軍事政権下で、正反対の生き方を選んだ、幼馴染の二人のブラジル人の生き方を通して、当時のブラジルを語った小説。
若い二人の主人公を中心に、彼らを取り巻く人々が、ままならぬ 現実の中、精一杯もがきながら生きてゆく様子をを語ると同時に、自国の利益のために、他国の政治を道具のように扱うアメリカの汚い外交政策に、批判の矢を立てた作品でもあります。
小説という形をとっていますが、豊富な資料を基にしているため、当時、アメリカ政府がCIAを通じて、ブラジル及び、南アメリカの国々に軍事独裁政権体制を敷いてゆく様が、リアルに読むものの胸に迫ってきます。
読む楽しみを味わいながら、ブラジルという、私にとっては、未知の国に対する知識を深める事の出来た、一石二鳥的な小説でした。
このブラジル3部作の第1弾、及び第3弾も、読んでみたくなりました。
この作品は、2006年、Festival Polar & Co de Cognac で、ポワトゥー・シャラントゥ地方の受刑者により、選ばれる、『Prix Intramuros』賞を受賞しています。





