『匂い』という特殊な言語を解する事の出来る二人の男女の愛を描いた小説
2008-02-20
「Fleur de peau」
著者 : Anne Calife
出版社 : Editions Héloïse d'Ormesson
ISBN-10: 2350870154
ISBN-13: 978-2350870151
表装 : ソフトカバー(14x1x21) 151頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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ヒロインは、人一倍敏感な嗅覚を持つ看護婦。
彼女は、優しい夫と、3人の子供達に囲まれて、幸せな生活を送っていたが、
病院でのルーチンワークに耐え切れなくなり、勤務先を変える事にした。
そんな彼女が、新しく勤める事になったのは、留置所の医務室だった。
消毒液とホルモンの匂いと、看護室詰めの医者のタバコの匂いに対抗するため、彼女は、バラの花束を買う。
かぐわしい匂いのするはずが、バラの花の匂いが感じられない事を不審に思ったヒロインが、バラに鼻を寄せていると、
「温室育ちのバラは、においがしないよ」
と彼女に声をかけた、男がいた。
その一言をきっかけとして、彼女は、受刑者のIvanという男に、急激に、惹かれてゆく。
以前に紹介した、「Conte d'asphalte」がとてもよかったので、同じ著者の他の作品が読みたくて、この本を手に取りました。
人間が囚われがちな固定観念から、自由な視点で書かれた作品という点では、私の期待に背かなかったのですが、「Conte d'asphalte」とは、全く違ったタイプの小説でした。
『匂い』という特殊な言語を解する事の出来る二人の男女が、刑務所という特殊な状況で、めぐり合い引かれてゆく様子を描いた、一風も二風も変った恋愛小説。
匂いで抽象化された、刑務所、そして人間、彼女の周りの自然が、ヒロインの嗅覚を通して語られます。 『匂い』という、言葉にするのが非常に難しいものを、器用に扱い、一人の女性の微妙な気持ちの揺れ動きを言葉にした小説。
私は、なかなか面白いと思いましたが、この特殊な世界に、魅せられるか、退屈に感じるかは、個人のセンシビリティーにより、大きく分かれるのではないかと思います。
毎日何気なく嗅いでいる、『匂い』がこんなに多弁だとは、気がつかなかったかったという、新鮮な驚きを与えてくれた作品でした。
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