Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

マルセイユを舞台にお嬢様とやくざな男の波乱万丈の恋を描いた大河小説


表紙写真 rue bons enfants
   「Rue des Bons Enfants」
 著者 : Patrick Cauvin
出版社 : Albin Michel
ISBN-10 : 2226040234
ISBN-13 : 978-2226040237
表装 : ソフトカバー(15x3x23)376頁


作品評価  : (3/5)
フランス語難易度 : (3/5)
読みごこち : (3/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら


1922年フランス、マルセイユで、この小説は、幕を上げる。
8歳になる、Pascalが、この小説の主人公。 
Pascaの父親Gaston Marrociは、娼婦を抱えいるバーEstrasseを経営しており、
Pascalの母親は他界していたため、Pascalは、祖母と一緒に、暮らしていた。

ある日、息子のPascalを連れて、Estrasseに現れたGaston は、バーの新客のPanderiという男と意気投合し、Panderiの誘いに乗り、Gaston は、Pascalを連れて、万国博覧会へ行く事になる。
Panderiが、娘のSéraphine を連れて行くため、立ち寄った、彼の屋敷を見て、Gastonと、Pascalは目を疑う。 Panderi は、オリーブオイル工場を3つ所有している、大実業家だったのだ。

生意気で、物知りのSéraphineに接し、Pascalは、自分の無知さを自覚させられる。 しかし、お互い寡どうしで、妙に気の合う父親に連れられて、度々Séraphine会ってゆくうちに、二人は、幼馴染とも恋人とも形容しがたい特別な仲になっていゆく。


大衆小説を多く手がけているフランスの人気作家Patrick Cauvin氏の手による、戦前、戦中のマルセイユを舞台とした大河小説。
マルセイユ生まれの著者のマルセイユに対しての深い愛着が感じられる小説です。

家柄、教養、学歴、財産、考え方の違いを乗り越え、愛を貫き通した、二人の男女の軌跡が、一癖も二癖もある作中人物と数々の波乱に満ちたエピソードに絡められて語られます。

お嬢様として育った教養に溢れるSéraphineと、やくざな父親に育てられた、無教養のPascal。 あまりに環境と考え方の違いに、いつも衝突してしまうけど、大好きな気持ちは変らず、離れられない、そんな二人の気持ちが、よく伝わってくる、心理描写に長けた小説です。

本当に愛するというのは、相手の全てを肯定したり、自分の思うように相手をコントロールするのではなく、相手が、自分と相容れない考えをもっていたとしても、それを尊重する事。

そんな、当たり前だけど、忘れがちになっている、人を愛する上で基本になる事に気づかされます。

この小説、PascalとSéraphineの二人の愛を中心に展開するのですが、それと同時に、自分の器量一つで、魚市場の人夫から、高級バーの経営者まで、のし上がったPascalと、遊び人の父親により傾いてしまった工場の建て直しを図ったSéraphineの立志伝ともなっています。
そのためか、恋愛小説に付き物の、べたべたした、赤面物の表現はなく、作品全体が、さらっとしたトーンで固められているのに、好感を抱きました。

又、Cauvin氏の作品につきものの、ユーモアのある言い回しが所々にちりばめられているのもこの作品に華を添えています。

ドラマチックな恋愛小説をお探しの方にお勧めしたい作品です。

この作品は、1990年に、 Prix des maisons de la presse を受賞しています。

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