フランス製のMANGA
2008-01-30
「L'Immeuble d'en face」
著者 : Vanyda
出版社 : La Boîte à Bulles
ISBN-10 : 2849530026
ISBN-13 : 978-2849530023
表装 : ソフトカバー(24x1x32)64頁
全体評価 :(3/5)
ストーリー :(3/5)
絵 :(4/5)
フランス語難易度 :(1/5)
読みごこち :(5/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
フランスのリール市の、とあるアパートメントが舞台のフランス製manga。
このアパートの2階には、6歳の男の子とその母親が、3階には、中年のカップルが、4階には、大学生のカップルが住んでいる。
この建物の住人達の毎日を断片的に描いた、短編漫画集。
バンド・デシネと呼ばれているフランス漫画は、日本の漫画(このブログでは、manga と表記しています)とは全く異なった手法で描かれています。
まず、外見からして、大違い。 大体の作品は、22x30センチから24x33センチくらいの大判で、標準48ページ、カラー印刷、厚くて堅い表紙がついていて、持ち歩いたり、電車で読んだりするのには不向き。
グラフィックも、素人ぽさが感じられる絵でも充分通用する日本の漫画に比べ、バンド・デシネ作家になるためには、イラストレーターや、画家としても充分通用する基礎デッサン力を持っている事が必須です。
そして、一番大きな違いは、漫画化の仕方。
1ページ30秒〜1分で読めることを条件として描かれている日本の漫画と違い、フランス漫画は、とにかく読むところが多い。幸い、ここ数年、テキスト部分がさほど多くない、読み易い漫画がかなり出版されるようになりましたが、それでも、500ページ以上ある長編小説を読むのが、全く苦にならない私ですら、1ページ目を開いただけで、
「ひぇ〜\(◎◎)/ 」
と、慄いてしまう漫画が沢山あります。
例えば、現在フランスで、とても人気のある「Largo Winch」なんかも、とてもじゃないけど、相当のギャラを貰わない限り、読む気になりませんね。(^^;)
バンド・デシネのクラシックの一つである「Black et Mortimet」シリーズを指して、あるフランス人は、
「あれは、睡眠薬代わりになるよぉ」
などと、のたまわっていたので、こう感じるのは、私だけではないようです。
そんなわけで、日本の漫画は、暴力的な粗悪品という固定観念のない若い世代の間で、mangaが、人気となったのも、おのずと、うなずけます。
mangaの人気により、BDの売れ行きが、がた落ちしたのに、一念発起して、フランス製のmangaを・・・という声が広がり、フランス人漫画家の手になるmangaも出版され始めている様のですが、その殆どの作品は、「mangaのイミテーションに過ぎない」と、フランスの批評家の間では、あまりいい評判を得ていないようです。
そんな中で、新人BD作家Vanyda さんの処女作にあたるこの「L'Immeuble d'en face」は、BDのエスプリをmangaをいう枠を使って表現した秀作との声が高い作品。
mangaの持つ、はちゃめちゃなパワーは感じられませんが、品のいい、詩的な雰囲気の漂う、散文詩的な作品。 BDとも、mangaとも形容しがたい、独特な作品に仕上がっています。
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