在仏ドイツ人の少年の両親の過去探しと自分探しの物語
2008-01-29
「J'apprends l'allemand」
著者 : Denis Lachaud
出版社 : Actes Sud
ISBN-10: 2742763465
ISBN-13: 978-2742763467
表装 : ペーパーバック(11x18) 289頁
作品評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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パリに住んでおり、ドイツ人の両親を持つ、中学1年生のErnest Wommelがこの小説の主人公。
彼の目つきが悪いのを気にした、母親は、Ernest を眼科へ連れてゆく。
眼科医は、手当てが遅かったため、Ernest の右目の視力を取り戻すことは不可能だと、Ernest の母に告げる。
Ernest の右目がまだ、光に反応する事を確認した母親は眼科医の態度に納得する事が出来ずに、別の眼科医の診察を受ける。
そして、この眼科医のアドヴァイスに従い、Ernest は、左目を隠して、右目の視力を少しずつ、回復させる訓練に入る。
Ernest Wommelは、両親が、ドイツ人なので、Ernest は、幼稚園時代から、学校で、ナチ扱いされ、いじめられ続けてきた。
だけど、Ernestは、ドイツの親戚にあった事はないし、家では、ドイツの話題はまったく出ないし、両親も彼が生まれた時からフランス語しか話さないので、Ernestは、ドイツ語が話せない。
彼の兄、Maxは、自分はフランスに生まれたフランス人だと自覚しており、ドイツに全く興味がなく、第二外国語にも、スペイン語を選択した。
だが、中学生になった時、Ernestは、第二外国語に、ドイツ語を選ぶことにした。
そして、中学3年生になったErnestは、彼の中学とドイツの中学校の交換留学生システムのため、ドイツにホームステイすることになる。
1人の少年の成長の記録を辿りながら、彼が両親とその家族の隠れた過去を探って行く様子を語った作品。
一つの章の長さが、1ページから数ページと大変短くて、易しいフランス語で書かれているので、とても読みやすかった本です。
この本、どこかの書評に、13歳以上の子供向けのお勧め本として載っていたので、読む気になりました。
とても読みやすい、やさしいフランス語で書いてあるので、子供にでも無理なく読める本、取り扱っているテーマは、どちらかというと大人向きだけど、子供にも理解出来る範囲内。
だけど、2人の子供を持つ親としては、ちょっとこれは、中学生になったとはいえども、子供に読ませたらまずいんじゃないの・・・というシーンが出て来る、という、ちょっと微妙な本です。
そのため、私としては、子供さんにはお勧め出来ない本だと思いました。
この本を子供へのお勧め本に推薦した、フランス人はかなり、リベラルなセックス感覚をもっている人だと、思いましたね。
第二次世界大戦の戦争責任に対する国民共通の認識が、未だに、はっきりと確定していない日本と違い、ドイツでは、第二次大戦の戦争責任は、ナチスにある、ドイツ国民は、そのプロパガンドに踊らされ、ナチスの暴走を押さえられなかったという責任はあるけれど、真の戦争犯罪の責任は、ナチスにあるという、国民的認知がはっきりと確立されています。
だから、ナチスに過去、係わりを持っていた人々を家族に持つ者達には、かなり、大きなトラウマがあるようです。
この本を読んで、そんな傷のため、苦しんでいる人たちも、一種の戦争の被害者なのではないかと、思いました。
だけど、そんな重いテーマを、ドイツ人でありながら、祖国を知らずに育った一人の少年の成長の記録と共に、さわやかな文章で、書き綴った小説。
戦争の残した傷が、作品の奥に流れてはいるものの、決して糾弾調にも、お涙頂戴調にも、流れない所がとてもいいと思いました。
流れるような読み心地の本なので、多読にも適している本だと思います。





