真のグルメのために書かれたグルメ小説
2008-01-28
「Une gourmandise」
著者 : Muriel Barbery
出版社 : Folio(Gallimard)
ISBN-10 : 2070421651
ISBN-13 : 978-2070421657
表装 : ペーパーバック(11x1x18)166頁
本の評価 :(2/5)
フランス語難易度 :![]()
(4/5)
読みごこち :(2/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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業界ナンバーワンといわれている料理評論家である主人公は、主治医にあと48時間の命だと宣告を受ける。
パリのグルネル通りの高級アパートメントの寝室で、彼は、かつて彼の舌を楽しめませた、味を回想する。
彼を取り巻く人々の短いモノローグを間に挿み、主人公の思い出の味の回想が語られる。
以前、このブログでも紹介した「L'élégance du hérisson」が、いたく気に入ってしまったたため、スーパーの本売り場で、『Par l'auteur de L'élégtance du hérisson』という帯につられて、中身を確認せずに買ってしまった本。
「L'élégance du hérisson」の前に書かれたミュリエル バルベリ氏の処女作で、、2000年に、『Prix du Meilleur Livre de Littérature gourmande (最優秀料理小説賞)』を受賞した小説です。
グルメ批評家のモノローグだと知っていたら、いくらペーパーバックでも、
ミュリエル バルベリの小説でも、自腹を切って買うことはなかったはず・・・
と、本を読み始めてから、ほぞをかみました。
美味しければそれでいい!
と、ただの味に、ちんたらかんたら、訳の分からない形容詞や薀蓄を傾けるグルメ文化に辟易している私には、ホント最後まで読み通すのが、しんどかった本。
味という、個人的で刹那的な経験を、いかに文章という不変な形で表現するか、という、巨大な作業に挑んだ、冒険的な作品。
そこらの有名料理評論家が、赤面して、裸足で逃げ出すような、クラシック音楽を思わせるような優美で繊細な文章で、多種の思い出に彩られた味が語られます。
そして、この作品がただのグルメ小説で終わらないのは、死の床についた一流のグルメ評論家が思い出すのが、決して、高価な珍味ではなく、普通の人が馬鹿にしている、おばあさんの手料理だったり、バタートーストだったり、バゲットだったり、する所、そして、そんな凡庸な食材がいかに美味であるかを、繊細さ溢れる文章で綴った所だと思います。
ラストには、思わず納得してしまったし、文章のうまさと、作品の意図の大胆さには、しごく感心させられましたが、何しろ、テーマに全く興味が持てないので、私にとっては、馬の耳に念仏、猫の耳に相対性理論、という感じ。
「L'élégance du hérisson」に登場する、人物がちょこっと顔を出しますが、まあ、それのためにわざわざ読むほどの事はない、という程度の登場の仕方です。
「L'élégance du hérisson」みたいなタイプの本を読みたいとお思いの方には、あまりお勧め出来ませんが、料理評論に興味をお持ちの方には、自信を持ってお勧め出来る本だと思いました。
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