氷河にかこまれた極限状態の中で、生きていく人間の実態を描いた小説
2008-01-24
「Court Serpent」
著者 : Bernard Du Boucheron
出版社 : Folio (gallimard)
ISBN-10: 2070321037
ISBN-13: 978-2070321032
表装 : ペーパーバック(11x1x18)150頁
作品評価 :(2/5)
フランス語難易度 :(4/5)
読みごこち :(2/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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舞台は、14世紀の終わり。
Montanus 神父は、「nouvelle Thule」と呼ばれる、氷河に覆われた遥か北の地に移住した、カトリック教徒を援助するため、「Court serpent」という名の船に乗り、アイスランドの北に位置する未知の土地へと向う。
しかし、Montanus 神父と、船の乗組員を待ち受けていたのは、想像もつかない、寒さと氷に支配された過酷な世界だった。
この作品は、2004年の 「Grand Prix du roman de l'Academie francaise」を受賞した Bernard du Boucheron 氏の処女作。
史実を綿密に調べ、当時の状況を正確にふまえて書かれた、厳しい自然によって、野蛮化された人間たちの営みに対する描写の的確さと、その迫力満点の表現力には、
「これが、本当に処女作?」
と、驚愕しましたが、内容があまりにも暗すぎて、絶望的。
おまけに、1節が、長すぎて、とても読みづらい。
私は、本を読んで、楽しい気分、それから、ちょっと賢くなった気分になりたいので、
この手の本は、まぁ、ちょっと賢くなった様な気はするけど・・・
うむむ、悪夢を見そうな気がします。
このお話の語り手は、Montanus 神父。
彼は、キリスト教の教義を厳格に守らせる事を生きる目的としている人物。
彼の口を借りて、どんな苦労をして、 nouvelle Thule.にたどり着いたのか。
そこの暮らしが、どんなに、すさまじいものなのか、
彼がどうの様にして、住民に、キリスト教の教えを守らせる事に成功したのか、
等が彼の口から語られます。
極限の寒さ、飢え、という、当時の文明を持っては、飼い慣らせない自然の中で
生きていくという事すら、大変なのに、この主人公は、キリスト教の教義の厳守を住民に強制し、
それを守らない者には、容赦なく、厳格な罰を与えます。
その罰も、現在の私達から見ると、信じられない程残酷な物。
「こんな所で、生きて行くのですら拷問の様なのに、どうして、キリスト教の名で、
それ以上の苦しみを与えなければならないの?」
と読んでいて、とても苦しくなりました。
この本を読んで、ある程度、満ち足りた環境があってこそ、人間は、人間らしく生きる事が
できるのであり、食べるものが満足に手に入らない、窮乏の中では、生き残る事のみが何よりも
最優先し、人間らくく生きるなんて、悠長な事は言っていられない、という事がよく分かりました。
この本のラストを読むと、著者が、今まで綿々と綴って来た
Montanus 神父の人格を全面的に否定している事が明らかになり、安らぎのため息がもれました。
氷河にかこまれた極限状態の中で、生きていく人間の実態、当時のキリスト教徒がいかに、
排他的で、非寛容であったかを知りたいという方には、お勧め出来ますが、
結構、グロテスクな場面があるので、覚悟してから、読んだ方がいいかもしれません
この記事は、2005年9月4日に、Yahoo Blog「フランス読書日記」にアップしたものを「フランス読書日記」の閉鎖に伴い、一部加筆の上、本ブログに転載したものです。





