ちょっと哲学的な香りのする しゃれたフランス現代小説
2007-12-14
Coup de coeur
「La Chaussure sur le toit」
著者 : Vincent Delecroix
出版社 : Gallimard
ISBN-10: 2070781550
ISBN-13: 978-2070781553
表装 : ソフトカバー(14x2x21)218頁
作品評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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パリの北駅の近くにある、アパートメントの屋根の上に、理不尽に置かれた片方の靴。 この靴を中心に展開する、10篇のの短編小説が収録された、連作短編集。
真夜中に目を覚ましてしまった娘をなだめようと苦労する寝ぼけまなこのサラリーマン、
アパートの一室に不法侵入した一人の男、
真夜中に、アパートの屋根によじ登る二人の泥棒、
テレビの教養番組の本番中に、『声』聞き、自分の真の使命に気づいたため、マスコミから退き、世間との係わりを一切経って、アパートに引きこもり、哲学的思索を続ける、かつて世間から持てはやされていた知識人、
あるパーティーで出会った『運命の女性』を忘れることが出来ない男、
次第に偏屈になり、人嫌いになってゆく飼い主を心配する愛犬、
夫に先立たれた孤独な未亡人、
等々の、様々な人々(と1匹の犬)を主人公として、書かれた10篇の短編。
それぞれ違った問題を抱えている人たちの心の内を語る事で、著者は、人間が生きてゆく上で直面せざるを得ない、自と他の関係と孤独をほのかに匂わせてながら、お話しを進めて行きます。
どのエピソードにも、普段は隠れている人間(や犬←しつこくてゴメン)の奥底がちらっと顔を覗かせる、奥行きの深い作品。
そして、その奥行きの深さに加え、一つのエピソードが、どこかで、後から出て来るエピソードと、つながりを見せてくるのが、この短編集の魅力となっています。
屋根の上に置き忘れられた靴を見ながら、様々な人生を語った、ちょっと哲学的な香りのする、しゃれたフランス現代小説でした。





