フランス企業の内情にカルチャーショックを受けたアメリカ人の話
2006-01-12
「Sacrés Français, le roman ! : Un Américain en Picardie 」
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
アメリカのダラスにある Honeywell&Thomas社は、フランスのピカルディー地方にある、水道やシャワー、浴室の蛇口を製造、販売しているFabre Frèreという企業を買収した。
Honeywell&Thomas社の社長のHoneywell氏は、主人公のBradleyに、赤字続きのFabre Frère社を収益の上がる企業に変える様命じ、彼をフランスへ送り込む。
企業建て直しの実績があり、フランス語もある程度話せるBradley だったが、工場に到着した第1日より、Fabre Frère社の実態が彼が知っている、企業の形態とまるっきりかけ離れていることを目にし、カルチャーショックを受ける。
へへへ。フランス企業の内情を少しばかり知っている私には、思い当たるところが、かなりあって、面白かったです。この小説を読んで、「いくらなんでも、これは小説なのだから、かなり誇張しているのでは?」
と思ったあなたは、考えが甘い。
もちろん、この小説に出てくる規模の会社で、こんな事が全て同時に起こるという事は、ないかもしれませんけれど、この小説に出てくる逸話は、ずさんな管理が原因で経済困難に陥ってしまったフランス企業では、実際にありうる事だと思います。(これは、『ずさんな管理のフランス企業』についてあって、勿論、全てのフランス企業を指しているわけではありませんので、くれぐれもご注意を)
信じられないほどいい加減で、それがまかり通ってしまう。又、労使が巨大な力を持つ、フランス企業の内情を、著者は具体的な例を挙げて、遠慮なく読者の目にさらけ出して行きます。
『法律でがんじがらめに縛られた国で、こんな実態の企業をどうやったら、建て直す事が出来るんだ!』
経営不振に陥ったフランス企業を買い取った本社から、現地に送り込まれた外国人幹部は、少なくとも一度は、こんな主人公と同じ気持ちになったことがあると思います。
フランス人やフランス社会に対する理解が深まるにつれ、一見理不尽に思えるような事にも、ちゃんと理由がある事がわかって来る様になるのですが、お話は、主人公がそれに気づき始めたかなぁ?という所終わってしまいます。
まあ、こんな国で、鍛えられてきたのですから、カルロス ゴーン さんにとって日産を立て直すことなど、オチャノコサイサイだったのかもしれない・・・なんて思いましたね。
それから、作中に、主人公のプルーストに対して、次のように、ぼやく箇所が出てきますが、これなど本当名言!
私は、おなかを抱えて大笑いしてしまいました。
これ以外にも、フランス人やフランスに対する、つぼを得ている表現が沢山出てきます。
本書を読み終わった後、多くの人は、面白かったけど、ラストは今ひとつ、と感じるのではないかと思います。
確かに、読み後味が悪くならない様にハッピーエンドにするため、又、フランス人のごきげんを取るためか、それまでの辛辣さに比べると、ラストはちょっと甘めになっています。
でも、一見すると今ひとつな様に思えるこのラスト、私には
「ストやデモだとあんなに一致団結できるのだから、それを生産に向けたらフランスはもっとよくなるのに」
という、著者の皮肉が、行間からにじみ出ているように感じられました。
フランス人はもとより、フランスに生産拠点を持っている企業の幹部の方、フランス企業を買収する予定のある企業幹部の方、フランスで働いている、又は働く予定のある外国人の方に、「こういう見方もあるのよ」と、視野を広げる意味で、お勧めしたい本です。
この著者は「Sacrés Français 」というエッセイを先に出版し、大好評だったため、本作品を書き下ろした様です。
Ted Stangerの他の著作に関する記事
著者 : Ted Stanger
出版社 : Editions Michalon
ISBN-10 : 2841862755
ISBN-13 : 978-2841862757
表装 : ソフトカバー、200頁
| 本の内容 | ☆☆ | 14/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
アメリカのダラスにある Honeywell&Thomas社は、フランスのピカルディー地方にある、水道やシャワー、浴室の蛇口を製造、販売しているFabre Frèreという企業を買収した。
Honeywell&Thomas社の社長のHoneywell氏は、主人公のBradleyに、赤字続きのFabre Frère社を収益の上がる企業に変える様命じ、彼をフランスへ送り込む。
企業建て直しの実績があり、フランス語もある程度話せるBradley だったが、工場に到着した第1日より、Fabre Frère社の実態が彼が知っている、企業の形態とまるっきりかけ離れていることを目にし、カルチャーショックを受ける。
へへへ。フランス企業の内情を少しばかり知っている私には、思い当たるところが、かなりあって、面白かったです。この小説を読んで、「いくらなんでも、これは小説なのだから、かなり誇張しているのでは?」
と思ったあなたは、考えが甘い。
もちろん、この小説に出てくる規模の会社で、こんな事が全て同時に起こるという事は、ないかもしれませんけれど、この小説に出てくる逸話は、ずさんな管理が原因で経済困難に陥ってしまったフランス企業では、実際にありうる事だと思います。(これは、『ずさんな管理のフランス企業』についてあって、勿論、全てのフランス企業を指しているわけではありませんので、くれぐれもご注意を)
信じられないほどいい加減で、それがまかり通ってしまう。又、労使が巨大な力を持つ、フランス企業の内情を、著者は具体的な例を挙げて、遠慮なく読者の目にさらけ出して行きます。
『法律でがんじがらめに縛られた国で、こんな実態の企業をどうやったら、建て直す事が出来るんだ!』
経営不振に陥ったフランス企業を買い取った本社から、現地に送り込まれた外国人幹部は、少なくとも一度は、こんな主人公と同じ気持ちになったことがあると思います。
フランス人やフランス社会に対する理解が深まるにつれ、一見理不尽に思えるような事にも、ちゃんと理由がある事がわかって来る様になるのですが、お話は、主人公がそれに気づき始めたかなぁ?という所終わってしまいます。
まあ、こんな国で、鍛えられてきたのですから、カルロス ゴーン さんにとって日産を立て直すことなど、オチャノコサイサイだったのかもしれない・・・なんて思いましたね。
それから、作中に、主人公のプルーストに対して、次のように、ぼやく箇所が出てきますが、これなど本当名言!
Il n'y avair presque pas de dialogue pour égayer les longueurs narratives, et certaines phrases s'étalaient sur une demi page. Proust ne savait pas comment terminer une phrase, et donc ne les terminait pas. Le gar avait manifestrment besoin d'un éditeur.
(延々と続く語りに、色をつける会話がほとんどなく、中には一つの文がページ半分を埋めているものもある。プルーストは文章の終わらせ方を知らなかった様で、文には尻尾がない。こいつには、絶対、編集者が必要だった)
私は、おなかを抱えて大笑いしてしまいました。
これ以外にも、フランス人やフランスに対する、つぼを得ている表現が沢山出てきます。
本書を読み終わった後、多くの人は、面白かったけど、ラストは今ひとつ、と感じるのではないかと思います。
確かに、読み後味が悪くならない様にハッピーエンドにするため、又、フランス人のごきげんを取るためか、それまでの辛辣さに比べると、ラストはちょっと甘めになっています。
でも、一見すると今ひとつな様に思えるこのラスト、私には
「ストやデモだとあんなに一致団結できるのだから、それを生産に向けたらフランスはもっとよくなるのに」
という、著者の皮肉が、行間からにじみ出ているように感じられました。
フランス人はもとより、フランスに生産拠点を持っている企業の幹部の方、フランス企業を買収する予定のある企業幹部の方、フランスで働いている、又は働く予定のある外国人の方に、「こういう見方もあるのよ」と、視野を広げる意味で、お勧めしたい本です。
この著者は「Sacrés Français 」というエッセイを先に出版し、大好評だったため、本作品を書き下ろした様です。
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