冒険小説顔負けのワイルドなオーストラリア旅行記
2007-12-10
「Nullarbor」
著者 : David Fauquemberg
出版社 : Hoëbeke
ISBN-10 : 2842302826
ISBN-13 : 978-2842302825
表装 : ソフトカバー(14x2x22)186頁
本の評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(2/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
メルボーンの生活に決別する決心をした、主人公のフランス人は、ヒッチハイクで、西北を目指し、ピースまで行く事を計画する。
ナラボー平原の真っ只中にあるバーで彼を、ピックアップしたのは、トラック運転手にガンをつけたと勘違いされ、ボロに、されかけられた、ポンコツ自動車に乗った、ギリシャ語の教師Adam。
気はいいけれど、ドジで文無しに近い彼と共に、木一本生えていないナラボー平原を越え、税関を越え、やっとの事で文明世界にたどり着く。
ここで、Adamと別れた主人公は、所持金が底をついたため、仕事を探す事にする。 安ホテルの主人が口にした、
「漁船では、いつも人不足なので、仕事は見つかるには見つかるが、仕事はきつくて、払いは悪いので、とてもじゃないけど、お勧めできない」
という、言葉を頼りに、港へ言った主人公は、『Perle des mers』という小さなマグロ漁船で働くことにしたのだが・・・
エコール・ノーマルを卒業して、哲学教師を経験した後、オーストラリアで2年間過ごした著者が自分の体験を元に書いた処女作。
とにかく、ものすごい迫力の小説。
オーストラリアの砂漠をヒッチハイクで横断したその旅行記なのですが、
本当の冒険小説とは、こういう小説の事!
と、言いたくなるほど、波乱万丈の旅行記です。
一本、生えていない壮大なナラボー平原の光景、
マグロ漁船での、野蛮な船長が指揮する釣りの壮絶な様子、
緊急の配達のため、2日半寝ずに、ニトログリセリンを乗せた大型トラックを運転するトラック運転士、等々、
人を寄せ付けない、厳しいオーストラリアの自然と、そして、その厳しい自然のせいで、そして、頭のねじがどこか吹っ飛んでしまったのではないかと、言いたくなるような、狂気を内に秘めている人間達の様子が、力強い筆致で、展開します。
そして、最後に、主人公は、原住民と共に2日間過ごす観光ツアーに、飛び入りで参加し、その後も、彼らの元に留まる決心をするのですが、外から彼らを見たのではなく、実際に原住民と共に生活した者でしか描きうる事の出来ない彼らの生活が、時には繊細に、時には、力強く描かれます。
この本、面白いのですが、一つの文章の長さが長めで、節が少ないので、読み心地はそれ程良いものではありませんでした。
又、無駄を最大限に省いた、エッセンスの濃い文章で書かれている上、状況説明に関しても饒舌とは言いがたいため、一つ一つの言葉に細心の注意を腹って読んでいないと、すぐに話の糸を失ってしまいます。
それから、これは、出版社の方への希望ですが、せめて、本の初めに、著者がたどった軌跡を記したオーストラリアの地図をつけておいて欲しかったと、思いました。
ですから、ふつうのエンタメ小説に比べて読むのに、かなり時間がかかりましたが、それでも、読み始めたら、本を手放すことの出来ない魅力に溢れている本でした。
上記の要素に加え、語彙がかなり豊富なため、フランス語初心者や、多読には、あまり向かないタイプの本ですが、
作り物でない現代の冒険小説を読んでみたい!
と、お思いの方いは、大いにお勧めできるタイプの本だと思います。
この作品は、冒険小説に贈られる、Nicolas-Bouvier賞を、受賞しています。
下記の書評サイトでは、著者による作品説明を聞くことが出来ます。
http://www.passiondulivre.com/livre-36237-nullarbor.htm





