ごく普通の主婦が、路上生活者になって行く過程をお伽噺になぞられて語る問題作
2007-12-05
Coup de coeur
「Conte d'asphalte」
著者 : Anne Calife
出版社 : Albin Michel
ISBN-10 : 2226176802
ISBN-1 3: 978-2226176806
表装 : ソフトカバー(15x2x23)251頁
本の評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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小さな自動車修理工場を経営している夫が交通事故で死亡してから、Pierretteの人生は、暗転した。
やさしい夫に守られ、趣味の裁縫や刺繍をしながら、陶磁器のコレクションに囲まれて、裕福でないものの、安楽な生活を送っていたPierretteだが、重なる借金を返済することが出来ない事から、夫の自動車修理工場は売却され、数ヶ月以上も、家賃を滞納していた、Pierretteは、アパートから追い出された。
友達の家に、泊めてもらったものの、気まずさを感じずにはいられないPierretteは、橋のそばで、Papillon と名乗る女のホームレスと出会う。
ごく普通の主婦が、路上生活者になって行く過程、そして、路上生活者として生きゆく事と、そこから抜け出すのが、どれほど困難に満ちているのかを、40歳を過ぎてもメルヘンタッチで生き続けているPierretteの目を通して語った小説。
本のまえがきに、この作品に登場する人々は皆、実在している、との記述がある事からも、分かるように、この作品を執筆の準備のため、著者は、メッツ、パリで、実際に、路上生活者として、生活したそうです。
ホームレス用ベットハウスがあるにもかかわらず、路上生活者たちが、あえて、外で眠る事を選ぶのが納得できるような、ホームレス用の施設の現状と、ホームレス救済団体の非人間的な態度、
物乞いをしいて、一番耐えられないのは、見てみぬふりをする人たち、
アルコールは、路上生活者にとって残された唯一の救い・・・
等々、実際に経験した者にしか、分かりえない、事実が、『本当のお姫様』『親指小僧』『ヘンデルとグレーテル』等々の童話になぞられて語られてゆきます。
自分が今まで抱えていた思い込みがいかに、根拠のない、薄っぺらだったものだか、思い知らされるそんな、深い驚きに満ちている作品。
『読者が、苦しむ事なく、彼らの立場に立って理解できる事を目的として、この作品を書いた』
と、著者は、インタビューで語っていますが、穏やかで、優しい文体で綴られているにもかかわらず、ページを捲ってゆくと、心に、グサリ、グサリと楔を打ち込んでゆくような言葉に何度もぶつかります。
いままで、無知のために、自分が他人を傷つけていたかもしれない事に気がつき、私は、かなりショックを受けました。
読み始めたら、決して無傷では、この本から抜け出すことに出来ない、
だけど、傷ついた分だけ、心が大きくなる、そんな不思議な力を持っている本。
私の人生観に大きなゆさぶりをかけた1冊でした。
下記のページでは、著者の本書に関するインタビューが読む事が出来ます。
http://www.europe-solidaire.org/spip.php?article5201
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