フランス メディアの裏のからくりを描いたフィクション
2007-11-15
「J'irai décrocher la une」
著者 : Philippe Nédélec
出版社 : Editions du Petit Pavé
ISBN-10: 284712120X
ISBN-13: 978-2847121209
表装 : ソフトカバー(15x2x21)184頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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フランスで最も売れている新聞『フィガロ』で、ジャーナリストの研修をする幸運に恵まれたThierryは、研修中に、編集長の目に留まるような記事を書き、正社員の地位を射止めようと必死で働いていた。
ある、フリーランスのジャーナリストが、パリ郊外のスーパーで行われていた不正会計疑惑に関する記事を『フィガロ』へ売り込みに来た。
Thierryの上司は、この手の話題は、読者の興味を引かないので、掲載できないと、すげなく、彼を追い払った後、Thierry に、パリの郊外にある町のスーパーで、帳簿の操作が行われている可能性があるので調査しろ、という指示を出した。
フリーのジャーナリストが、この件に関する記事を売り込みに来た事など、露にも知らない Thierry は、もう1人の研修生のBérangèreと一緒に、問題のスーパーへ取材に赴く。
二人で手分けしたが、全く手がかりが得られず、二人は手ぶらでパリに帰って来たが、そんな折、あるテレビ局のプロデューサーが、手ごたえのあるルポはないかと、Thierry達に打診する。
Thierryは、これは、願ってもいないチャンスと、例のスーパー不正会計疑惑をでっち上げて、ルポにする事を計画する。
レーガンが現役の大統領だった頃のフランスのメディア界を舞台にしたフィクション。
田舎出の何のコネもない、一人の若者が、はったりで、でっち上げたルポが、フランスメディアを裏で操る黒幕の目に留まり、フランスのメディア業界のみでなく、経済界をも裏で操る、総合メディア企業に職を得ることに成功。
その後、メディア操作が世論に与える影響の実験のためのモデルとして、密かに選ばれた地方の町に配属され、フランスメディアの裏のからくりを身をもって体験しながら、一人の若者が、出世の階段をとんとん拍子で上り、その汚い手口に知らず知らずのうちに染まってゆく子を語ったフィクション。
この小説フィクションなのですが、フィクションとは思えないほど、現実味があります。
一企業が、利益を得るため、コミュニケーション会社を作り、メディアの裏で糸を引き、世論を操り、経済のみならず、政治をも牛耳って様子が、具体的な事例を挙げて語られます。
以前から、フランスのニュース番組を見ていて、腑外に落ちない事が良くあったのですが、この作品を読んで、
ああ、そういう事だったのね
と、メディアに対する不信が余計、強まりました。
この小説を読んでから、ニュースを見る度に、誰が、どんな目的で、とういうニュースを、どういうタイミングで流しているのか、考え込んでしまう、習慣がついてしましました。
現在の、マスコミ、メディアと企業、政治家の関係に興味にある方、テレビニュースなんかに操られたくない!と、お思いの方に、特にお勧めしたい作品です。





