強迫性障害を病むフランスの小学生を描いた中編小説
2007-10-13
Coup de coeur
「Toc」
著者 : Nathalie Ours
出版社 : Joelle Lesfeld
ISBN-10 : 2070787001
ISBN-13 : 978-2070787005
表装 : ソフトカバー(13x1x22)90頁
本の評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(2/5)
読みごこち :(5/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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来年中学生に進級する予定の、小学5年生で(フランスの小学校は5年制で、中学校は4年制です)、美しい容姿を持ち、成績優秀なCamille は、クラスの男の子達の憧れの元。
だけど、Camille は、常に数を数えていないと、不安でしょうがないという強迫性障害を病んでいる。
不運な出来事の連続により、自分には、意図せずに、回りの人々に不幸をもたらす力が備わっていると信じるようになった Camilleは、数の力で不幸を追い払うことが出来ると信じ込んでいた。
そんな、孤独なCamilleの日常を語った中編小説。
大人向けの書籍なのですが、小学生高学年以上の子供でも、充分読む事の出来る、とてもやさしいフランス語で書かれた小説。
心が絞られる、そんな思いのする作品。
著者は、強迫性障害を病む1人の女の子の頭の中に入り込み、彼女から見た周りの世界を彼女の言葉で説明してゆきます。
ページを追ってゆくに従って、不幸な出来事にも負けずに、何とか生きていこうとするCamilleのいたいけな心が刻々と伝わって来ます。
どうして、聡明なCamilleが、強迫性障害という病にかかってしまったのか、どうして、蜘蛛の糸のように彼女の心身をがんじがらめにしているこの病気から、逃れる事が出来ないのかを、まるで自分が身をもって体験しているように、理解する事が出来ました。
私は、自分がCamilleになったかのように、彼女の痛みを共有しました。
全体的に見ると、とても、ペシミストな小説なのだけれど、読むにつれて、次第に心が澄んできて、他人の痛みに敏感になるような気がする、そんな不思議な魅力を持っている小説。
作中に、Camilleが学校の宿題で作った、俳句が出てきます。
Camilleの繊細な感受性が感じられて、とても素敵なので、そのうちの二句を下記します。
L'été blanc renaît
Doigts rouges des cerisiers
Frissionnent dans le ciel.
Nuit frigorifiée
Lune blonde et ronde toute nue
Sort de l'eau du puits.
日本語にも、是非訳して、大人だけでなく、子供にも読んでもらいたい、フランスの現代小説です。
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