刑務所を脱走し、ヨーロッパ中を放浪した青年の軌跡を描いたフランスの現代小説
2007-09-30
「Chemins noirs」
著者 : René Frégni
出版社 : Folio
ISBN-10: 2070384845
ISBN-13: 978-2070384846
表装 : ペーパーバック(11x2x18)347頁
作品評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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主人公の青年は、兵役から逃れ、ヒッチハイクしている所を、憲兵隊の職務質問に合い、刑務所に送られる。
弱肉強食の刑務所生活で、凶暴な同房者や、変態の同房者たちに混じり、それなりに毎日を送っていた主人公だったが、彼らの房に、兵役逃れの罪で、気の弱い肥満体の哲学教師が入れられた事から、彼らの日常に大きな変化が起こる。
そして、不遇な出来事の連鎖により、主人公は、凶悪犯のみを収容する刑務所へ、送られる羽目になってしまう。
彼は、チャンスを利用して、脱走する事に成功するが、その際に、憲兵隊長を意図せず死に至らしめてしまい、凶悪犯として指名手配されてしまう。
その後、パリから南仏、コルシカ島、イタリア、ユーゴスラビア。モンテネグロ、イスタンブール、ギリシャ・・・と、あてもなく放浪する主人公の姿を描いた小説。
René Frégni の処女作。
350頁程の本なのですが、普通のペーパーバック本に比べると小さめの活字で印刷してあるので、結構読みでがありました。
著者の経歴には、この小説の主人公に一致するところがかなりあるので、経験を元に書かれた作品ではないかと推察したくなってしまいます。
優しい気持ちを持ちながら、常に楽なほうへと流れて行く事しか頭になく、、自分が生き延びるためなら、法律を犯したり、他人に迷惑をかける事も厭わない、そんな人生観を持っている主人公が、なりゆきで、人殺しをしたり、盗みを働いたり、女性と関係をもったりする、そんな波乱万丈の生き様を語った作品。
すさんだ刑務所の様子、壮絶な精神病院の様子等々、読むのが辛い場面が多い上、正義感ゼロというわけではないのですが、ずるくて、女好きで、他人の事がまったく頭にない、主人公のエゴイストな言動に、不愉快なものを感じ得ずにはいられませんでした。
それでも、最後まで読みきってしまったのは、著者の彫りの深い人間描写力と、凄まじいまでに強烈な表現力による所が多いと思います。
読んでいて、どこなく居心地の悪さを感じざるをえないのですが、主人公の行方が気になってしまい、途中で読むのを止める事が出来ない、読者を惹きつけて放さない迫力を持っている小説でした。
この作品は、1990年に『Prix Populiste』を受賞しています。
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