ベナキスタ の初期の4作の小説が、1冊に収められている超お買い得のペーパーバック
2007-07-19
Coup de coeur
「Quatre romans noirs」
著者 : Tonino Benacquista
ISBN-10: 2070315290
ISBN-13: 978-2070315291
出版社 : Folio policier(Gallimard )
表装 : ペーパーバック(11x4x18)896頁
全体評価 :(5/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
私のお気に入りのフランスの小説家、Tonino Benacquista の初期の4作の小説
「La maldonne des sleepings」
「Les morsures de l'aube」
「Trois carrés rouges sur fond noir」
「La commedia des ratés」
が、1冊に収められている分厚い、超お買い得のペーパーバック。
本の裏表紙には、主人公が同じ、連作小説と書かれていたけど、これは、どう考えてもおかしい。
どの作品も、ベナキスタ氏が小説家になる前の経験が元になっているので、こういう書き方をしたのだと,思いますが、この4つのお話の主人公が、同一人物ではありえないことは、この本を読み終わったら分かります。
だけど、それ以外は、文句のつけようのない、お勧め本です。
「La maldonne des sleepings」
主人公は、パリを拠点として、ヨーロッパの各都市へ向う、寝台車の2等車両乗務員。
いつもの様に、パリからヴェニスへ向う寝台車へ、乗り込んだ主人公は、ひょんないきさつから、色々な組織から狙われている男を、かくまう羽目になってしまい、単なるルーティンワークだったはずの、パリ・ヴェニスの往復が悪夢の様な時間に変わって行く。
この作品の、寝台列車の描写は、とってもリアリティーがあります。
作者は、実際に、寝台車の車両乗務員として、働いた経験があるとの事なので、ここに、描かれている寝台車事情は、かなり現実に使いのではないのかなぁ・・・と私は、思いました。
私は、この作品を読んでから、絶対、イタリアへ寝台車で、旅行するのは止めようと思いましたね。
さて、作品に、ついてですが、なかなか、息もつかせぬ、ストーリー展開で、ラストまで、読者を引きずって行く、サスペンスです。
Benacquista のベストとは言い難い作品ですが、フランスのサスペンス小説としては、かなりハイレベルの作品だと思います。
パリ・ヴェニス間を寝台車で、旅行しようと計画されている方、計画実行前に、一度この本をお読みする事をお勧めします。
この作品は、「La Maldonne des sleepings」のタイトルで、単独でもFolio Policier、から出版されています。
「Les morsures de l'aube」
プライベートパーティーに招待状なしで、潜り込む事を生業としている、ホームレスの Antoine と Bertrand。あるパーティーに潜り込むため、口にした名前が元で、ちょっとおかしい年寄りに、人探しをする様、強制される。
親友の Bertrand を人質に取られた、Antoine は、パリの町を走り回り、あちこち、心当たりを当たってみるのだが・・・
私は、知らなかったのですが、この主人公の様に、招待状なしでプライベートパーティーに潜り込み、ただ飯食って、働かずに生活している 『Parasite professionel』という人達って、実際にパリに、存在するそうなんです。
お話は、というと、私には、なんとなく、中ほどで、お話の大筋が想像出来てしまったけど、それにも、かかわらず、結構楽しめた作品です。
主人公が、パリをあちこち探し回って、苦労する当たりの描写とか、ものすごく、面白かったですね。
ラストのオチにも、主人公と同じ様に、「やあ、一本取られた」と言いたくなる様な気分になりました。
さすが、MAITRE BENACQUISTA !
この作品は、「Les Morsures de l'aube」のタイトルで、単独で、出版されています。
「Trois carrés rouges sur fond noir」
主人公は、昼間は、画廊の展示準備アシスタントを勤め、夜は、ビリヤードの名手という、2重生活を送っている。ある日、画廊に展示されている絵を盗もうとした、不審な人物を目撃した事から、彼の人生は、暗転する。
フランス美術界を舞台にした、スリラー。
画家の世界を垣間見る事が出来たのが、おもしろかったです。
ねたばれになってしまうので、あまり詳しく書けませんが、読み応えのある作品でした。
ベナキスタの作品につきものの、あっといわせるオチはないけれど、人生の全ての希望を失った主人公が、事件を通して、人間的に成長し、新しく生きる勇気を見出すあたりが、とっても良かったです。
かすかな希望の光が感じられる、ラストには、思わす、涙が出てきました。
この作品は、「Trois carrés rouges sur fond noir」のタイトルで、単独でも出版されています。
「La commedia des ratés」
この作品については、以前に書いた記事をご参照下さい。
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この記事は、以前Yahooブログに書いたものを一部加筆したものです。
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