流行歌に乗せて一人のフランス人の半生を書いた連続短編集
2007-07-17
「Juke Box」
著者 : Jean-Philippe Blondel
出版社 : Pocket
ISBN-10 : 2266153986
ISBN-13 : 978-2266153980
表装 : ペーパーバック(11x1x18)211頁
全体評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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「Juke Box」というタイトルから、推察できる通り、ミュージカル「ヘアー」の主題歌「Let the Sunshine in」から、ジュリアン クレールの「Danse s'y」に、いたるまで、1970年から2004年までの流行歌に乗せて、一人の男の人生を語った作品。
この小説は、
組合活動に熱心で、亭主関白な父親の言うなりになっている専業主婦の母親に同情する、主人公の気持ちを中心に語られる、幼年時代を語る「INSERT COIN」
友達やガールフレンドの思い出や、自分の殻にこもりがちで、母親の手をもてあました、主人公の中・高校時代を語る、「SELECT TITLE」
パリの大学に進んでから、恋人と出会い同棲したものの、3角関係に苦しみながら人生を模索する、10代の終わりから20台を語った、「VOLUME HI/LO」
今までの生活にピリオドを打つためのインドへの旅と、フランスへ帰国してから、新たな人生を歩み始めた主人公を語る、「PLAY」
そして、取り壊しの予定の幼年時代を過ごした共同住宅にたたずみ、過去を回想する「JUKE BOX」
の5部に分かれており、各部は、「Let the Sunshine in」や、「Lundi au soleil」等の、流行歌がタイトルとなった、6ページから26ページ程の章に分かれています。
Jean-Philippe Blondel氏の作品は、これで、4作目ですが、人生の一つのシーケンスを切り取り、繊細に書き綴ることで、その人の人なりと、彼(彼女)が生きてきた道のりを、数ページで読者に伝える事の出来る、稀な才能を持った作家だと、改めて、確信しました。
小説の構成は、以前紹介した、「Un minuscule inventaire」、「1979」、「Accès direct à la plage」と比較すると、少々おとなしめ。
プロットに関しては、以前に紹介した3作のような才気煥発さは感じられませんが、やさしさに満ちた視線で、主人公と彼を取り巻く人々を見つめる著者の視線と、行間から溢れ出すようなセンシビリティーには、心を動かされました。
私は、主人公の幼年時代、思春期時代を語った初めの2部と、ラストの「JUKE BOX」
が、他の部分に比べると、ずば抜けて、優れていると思いました。
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