エジプトとモン・サン・ミッシェルを行き来するミステリー
2007-06-27
「Le sang du temps」
著者 : Maxime Chattam
出版社 : Pocket
ISBN-10 : 2266167537
ISBN-13 : 978-2266167536
表装 : ペーパーバック(11x2x18)467頁
全体評価 :(2/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(3/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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フランス政界のトップを巻き込む殺人事件の証人となってしまった、法医学研究所の事務員だったMarion。 彼女の身に危険を感じさせる出来事が起こったので、DST(フランス諜報部)は、彼女に、一時身を隠すよう忠言する。
そして、DSTがMarionの隠れ家として選んだのは、モン・サン・ミッシェルに住む、カトリックのコミュニティーだった。
修道女や修道士に囲まれ、モン・サン・ミッシェルに一時滞在することになったMarionは、モン・サン・ミッシェルの近くのAvalancheの史料館へ、コミュニティーの一員であるDamien修道士に連れられ、古文書の整理の手伝いに行った際に、奇妙な書物を見つける。
エドガー・アラン・ポーの「アーサー・ゴードン・ピムの物語」の表紙が付いたその本の中身は、1928年にエジプトのカイロに滞在したイギリス人刑事Jeremy Mathesonの手による日記だった。
この日記には、Jeremy Mathesonが、1982年のカイロで担当した、殺人事件について書かれていた。
貧しい家庭の子供の惨殺死体が、連続して発見されという事件が起こる。そして、「これは、ghûlと呼ばれている伝説の怪物の仕業だ」という噂が巷に広まり、この事件を担当した、イギリス人刑事、Jeremy Mathesonは、エジプト人のAzim刑事と共に、事件の捜査を始める。
薄暗い日の光に照らされ、古い石の階段が続く、暗いモン・サン・ミッシェルで、Marionの元に届けられる、謎めいた暗号のメッセージ。
イギリス植民地化にあるカイロ、富と貧困が混在する町で起こった子供の連続惨殺事件。
この小説はそんな二つの世界を行き来しながら進行してゆきます。
今まで、Maxime Chattam の著作は、数冊読んでいるのですが、どれも、とても読みやすく、スピード感がある作品ばかりでした。この本を手に取った時も、その手に軽く読める本を期待していたのですが、今まで読んだ作品と少々トーンが違った作品なので、最初は、少々、戸惑いました。
スピーディーなストーリー展開より、状況描写にポイントを置いた作品。
読みながら、へぇー、Maxime Chattam らしくないなぁ、平々凡々のスリラーみたい、この人も売れるようになったから、平凡路線になったのかしら、残念、
等と思いながら読んでいたのですが、最後まで読み進んで、
「やっぱり、Maxime Chattam」
と、胸をなでおろしました。
今まで読んだ著者の作品に比べると、スピード感は、いささか落ちましたが、犯罪者の微妙な心理と、「真実」という曖昧な観念に焦点を置いた、後半の展開には、大満足。
著者は「まえがき」の中で、James Newton Howard作曲の映画 「The Village 」のサウンドトラック盤、Peter Gabriel の「Passion 」、又は、 John Debney 作曲の映画「 La passion du Christ」のサウンドトラック盤、を聞きながらこの本を読むことを薦めていますので、本を読む前に用意しておくといいかもしれません。
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