Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

抜群のセンスのフランス漫画

Coup de coeur

「Alex Clément est mort」

alex
  ストーリー : Delphine Rieu
 作画 : Emmanuel Lepage
出版社 : Vent d'Ouest
ISBN-10 : 2869678681
ISBN-13 : 978-2869678682
表装 : ハードカバー(23x2x33)128頁
 

全体評価 : (5/5)
ストーリー :   (5/5)
絵        :   (4/5)
フランス語難易度 : (2/5)
読みごこち : (5/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら


マルセイユの高級アパートで、いつものように、掃除婦のAliceが掃除機をかけていると、玄関のベルが鳴る。

部屋へ足を踏み入れた男は、法学部の学生Mathieuと名乗り、アパートの住人のd'Alex Clémentは、心臓発作で死亡したとAliceに告げる。
そして、Mathieuは、
「今朝、論文の資料を取りに、Alex Clément のアパートに来たが、誰も応答しないので、不審に思い、管理人に鍵を開けてもらったところ、Alex Clément の死体を発見した。 警察に連絡し、調書を取り終わったため、問題の書類を取りに、アパートへ戻って来たのだ」
と、Aliceに説明する。

「まだ、今月の給料も貰っていないのに、死なれちゃ困る」
と、現金がないかと、Aliceが部屋の中を、Mathieuが止めるのも気に留めず、探していると、ベルが鳴り、ピザ配達人のAntoineが、戸口に現れる。

状況を説明され、1週間のピザの代金を今日支払ってもらうつもりだったAntoineが、どうしようかと考えあぐねていると、今度は、アパートに、刑事が現れる。

不審に思う刑事に、3人は、簡単に状況を説明し、故人の家族へ連絡しようとしていたところだと、うまくごまかす。

その時、アパートの真下の通りで、爆弾が爆発する。
3人に、即急に家族に連絡を取る様、告げ、爆発現場へ、刑事は向かう。

そして、家族に連絡を取るため、アドレス帳を探しているうちに、3人は、紙幣がぎっしりつまったかばんを見つけてしまう。


以前に、このブログで、何回か紹介したEmmanuel Lepage 氏が作画を担当している漫画。
カラーで着色された作品が主流のBDでは、珍しい白黒のみで描かれた作品です。

Emmanuel Lepage 氏は、絵がメチャうまくて、センス抜群の漫画家であることは、分かっていたつもりなのですが、この作品を読んで、

「いやあ、白黒で、これだけ、スゴイ漫画を描けるなんて、相当の才能の持ち主」

と、彼への賞賛の念が倍増しました。


ペンで輪郭が描かれた一般的な漫画とは違い、一切ペンが使われておらず、水彩タッチで描かれた漫画。

白黒の水彩タッチと言ってしまうと、「墨絵のような感じの絵?」

と、思われる方がいるかもしれませんが、墨絵とは、全くイメージが違う、現代的なアートっぽいタイプの絵です。

ペンを使わないと、細部を書き込むことが出来ないため、この手のテクニックを使うと、往々にして、作中人物の表情が曖昧になってしまう事があるのですが、さすが、 Lepage 氏、登場人物たちの感情がひしひしと伝わってくる様、人物画も表情豊富に描かれています。

なかなか、常人には、真似の出来ない技です。   

又、絵が抜群にうまいだけではなく、漫画化の仕方も巧み。
巧緻なストーリーが持つ魅力を十二分に生かした、緊張感溢れる作品に仕上がっています。

そして、肝心のストーリーの方ですが、これも、なかなか、洒落ています。
話の進行に伴い、新しい事実が小出しにされてゆくたびに、

「あー、そういう事だったの、ひゃひゃ、こりゃぁ、いい!」

と、作者に座布団1枚あげたい気分になってしまいます。


超ウマで、抜群のセンスの作画に、フランス人特有のセンスが溢れる洒落たストーリーのフランス漫画。

「こんな本なら、自分で買ってもよかったなぁ・・・」

と、図書館で、借りてしまったのを悔しく思ってしまった、そんな作品です。

懐に余裕が出来たら買いたいけれど、そんな日が来るのは、はるかかなたの未来になりそうです。(T.T)

下記の、BD原画販売サイトでは、この作品の一部の頁を見ることが出来ます。

http://www.danielmaghen.com/Default.asp?Action=Planches&PlancheId=3980

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