Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

フランスの南アルプスの小さな村が舞台のホラー小説


hauts esprits
   「Les Hauts Esprits」
著者 : Claude Ecken
出版社 : Nestiveqnen
 ISBN-10 : 2915653224
ISBN-13 : 978-2915653229
表装 : ソフトカバー(13x3x20)363頁


全体評価  : (3/5)
フランス語難易度 : (3/5)
読みごこち : (3/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



Vallargues という、何もない、フランスの小さな南アルプスにある村がこのホラー小説の舞台。

Vallargues村へは、いくつかの、道路が通っていたが、そのうちの一つの道のカーブで、死亡事故が相次いで起こる。

Vallargues村に住む、小学校教師、Sandrine Magrade は、村八分になり、山頂の小屋へ、隠居している古い友人 Stanislas d’Hautrequin の、所へ行こうと何度も試みるが、その度、天候が崩れ、引き返す事を余儀なくされる。

そして、問題のカーブで、村人を巻き込んだ死亡事故が相次ぎ起こる。
Luluと呼ばれている青年がバイクでカーブで、事故を起し、それに続き、村人Michel Clérotが、村に定期的に滞在し、村人達と馴染み深いドイツ人、Franz Sheinzer を轢き殺してしまう。

Michel Clérotは、事故の直後に、Franz Sheinzerが見たこともない女性と抱き合っていたと、繰り返すが、事故現場には、Franz Sheinzerの死体しかなく、誰も、彼の証言を信じない。

又、カーブの上部の林の中で、異常な量の野生動物の死体が見つかり、村人達の不安はつのる。

Sandrine Magrade は、郷土史を研究している Gaston Blancの元を訪れ、事故の記録を辿ってゆくうちに、ジャガーに乗ったVirgil Skobrèsという国際的に有名な魔術師が起こした死亡事故がきっかけとなり、一連の死亡事故が起きるようになった事を掴む。

Gaston Blancの提案に従い、Sandrine Magradeは、村の出身で、パリに住んでいるPascal Ladieu  に、Virgil Skobrèsについて調べるよう、依頼する。


フランスの山奥の小さな村が舞台のホラー小説。

かなり読みやすい文章で書かれている作品なのですが、なぜか、この本の前半を読むのに、いつもより、倍の時間がかかってしまいました。

どうして?

以前に読んだことのある都筑道夫著の「阿蘭陀すてれん」という、読んでも、読んでも、なぜか最後まで読むことが出来ない、魔性の本について書かれた短編をふと、思い出しました。

ううん、この本も、じつは、読んでも読んでもページ数が減らない、魔性の本?

などど、いう考えがふと、頭を横切りましたが、良く考えてみると、この本、ペーパバックよりちょっと大きめで、活字の大きさが小さいため、1ページに印刷してあるワード数が普通のペーパーバックの倍くらいである事に気が付きました。
だから、350頁ちょっとじゃない、などと、侮っていたけど、けっこう読みでのある本でした。

さて、肝心な本の内容ですが、本の表紙には、Fantastique(ファンタスティック小説)と書いてありましたが、これは、ファンタスティックは、ファンタスティックでも、どちらかとういと、ホラー小説。

フランスのファンタスティック小説の定義は、
Se dit d'une œuvre qui met en scène le trouble créé par l'irruption du surnaturel dans la réalité.
(現実の世界に現れた超自然現象が原因で起こった混乱を描いた作品)

なのだそうですから、勿論、この記述に誤りはないのですが、この小説の場合、日本語では、ホラーと形容した方がぴったり来るようなタイプの小説です。 

この文章を書きながら、そういえば、フランスでは、ステファン キングの作品は、ファンタステックに分類されてるなぁ・・・と、思い出しました。

小説のジャンル分類というのは、ホント難しいです。

描写的な文章テクニックが卓逸している作家の手によるホラーなので、作中人物が様々な方法で命を落としてゆく有様や、村人達が理不尽な行為に駆り立てられて行く有様が、生々しく、かつ緊張感のある文章で綴られます。

ただ、読者を怖がらせるだけでなく、フランスの山奥に住む村人達の性格描写などが巧みなので、フランスの山奥の村の雰囲気がビシバシ伝わってきました。

ラストがそれまでの部分に比べると、少々、あっけなく、又、読み終わっても作中感じた疑問が残ってしまうという瑕瑾はありますが、それ以外は、中々楽しめた作品でした。

超自然現象によるホラーものですが、けっこうグロテスクな場面とか出て来るので、その手の描写が苦手な方にはお勧め出来ない作品です。

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