地味だけど、心に残るフランス漫画
Coup de coeur
「Chute de vélo」
著者 : Etienne DAVODEAU
出版社 : Dupuis
ISBNコード : 2800135395
表装 : ハードカバー(24x1x31)80頁
| 本の内容 | ☆☆☆ | 18/20 |
| フランス語難易度 | 易しい | |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
Jeanneの母親Irèneは、老人ホームで暮らしている。彼女が住んでいた家を売ることになったため、Jeanneと彼女の配偶者と子供たち、Jeanneの弟 Simonは、夏休みを利用して、荒れほうだいになっていた母親のの家をなるべく、売れやすくするため、整理清掃することにした。
そんなわけで、Jeanneと彼女の配偶者と子供たち、Simon、そしてIrèneに、友人のToussantが加わって、Irèneの家で過ごす最後の夏休みを送ることになった。
Irène家の前では、左官工が、見習いと二人で工事をしている。
始終親方に怒られている、見習い、そんな彼らの様子を子供たちは、鎧戸の隙間から覗き見している。
腹に据えかねた見習いが、親方のサンドイッチに、つばをはきかけるのを、目にした子供の一人が親方に、告げ口をしたことから、思わぬ波紋が起こり、Irèneの家族にまつわる、秘密が顔を出し始める。
優美とは、言いがたいけれど、決して不快感を感じさせない、リアリティーの力を感じさせる、タイプの達者な絵。
人物描写は、似顔絵風な絵柄です。ちょっとくせがあるけれど、なかなか、味のある絵ですよ。
又、背景が、とても細かく丁寧に描かれているのにも、好感が持てます。あわい水彩画を思わせる色使いもとても素敵。
そして、フランス漫画にしては、珍しく、読むところが少なくて、コマとコマの間の流れもスムーズで、大変読みやすかったです。
そして、地味だけど、心にしみこむようなストーリー。
頁をめくっていくと、一見すると普通に見える人たちにまつわる、隠された事実が、次第に明らかになって行きます。
この本の中に
「私は、彼らに助けられることで、彼らを助けた」
という、せりふが出てきますが、これって本当、名言だと思います。
人を助けるという事は、自分が役に立てるという事を確認できて、自尊心を満たすことが出来ます。だから、人に助けられてあげる事で、逆に、人を助けることになる。誰かを助けてあげたつもりが、実は、それで自分が助けられいた、なんて事、きっとあるはず。
この本を読んだ後で、この本を読んだ人と、本の内容について、色々と語り合い、話しに花が咲きました。
読んだ後、誰かと分かち合いたくなるタイプの本です。
派手さや、あっという驚きはないけれど、さりげなく、心の奥の襞を揺らせる、そよ風のような漫画です。
今年、私が読んだBDの中で、ベスト5に入る名作です。
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「Chute de Vélo」は、サザエさんとは程遠い、漫画というより、文学作品といった趣の作品ですが、フランス語を解しない日本人をターゲットにした本屋では、購入をためらってしまうタイプの本だと思います。
それから、仏大手スーパーLECLERCの社長、Michel-Edouard Leclerc氏のサイトで、「manga」が取り上げられていました。
http://www.michel-edouard-leclerc.com/blog/m.e.l/archives/2005/10/bande_dessinae_1.php
ここに書かれている内容には、賛同しかねる所もありますが、日本のメディアを通してはあまり知る事の出来ない、平均的フランス人の「manga」感を垣間見ることが出来ます。