Lire en FETE - フランス語の本の読書ガイド

フランスの現代作家の小説、BD(フランス漫画)を中心に、私が読んだフランス語の本を紹介

フランス人のエスプリに満ちているユーモアウエスタン漫画「Lincoln」シリーズ第1巻

Coup de coeur

「Lincoln, tome 1 : Crâne de Bois」

lincoln 1
  ストーリー : Olivier Jouvray
 作画 : Jérôme Jouvray
 着色 : Anne-Claire Jouvray
出版社 : Paquet
ISBN-10 : 2940199892
ISBN-13 : 978-2940199891
表装 : ハードカバー(22x1x30)48頁
 


全体評価 : (4/5)
ストーリー : (5/5)
絵        : (3/5)
フランス語難易度 : (2/5)
読みごこち : (4/5)

* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら



アル中の父親と娼婦の間に生まれ、酒場で育った孤児のLincolnが主人公の一味違ったウエスタン漫画。

ひねくれた性格で、アマノジャクで、意地悪で、口が悪くて、悪賢いLincolnは、村の問題児。
あまりの悪行に愛想を付かされ、とうとう、19歳のときに、生まれ育った酒場を追い出されてしまいます。

そこで、反省するするどころか、主人公のLincolnは、夜、店に忍び込んで、拳銃を盗み、馬屋に火をつけ、そのどさくさにまぎれて、馬を盗み、生まれ育った村を後にします。

気のいい、神父に一晩の宿と、食事を恵まれますが、Lincolnは、食料と馬を盗み、恩をあだで返し、教会を後にします。

そんなLincolnが、川辺で、ダイナマイト釣りをしていると、神様がやって来て、彼に話しかけます。

「あんたが作った、ばかっぴろいばかりの下らない世界で、喜びなんか見つけられるはずない」
と、神に言うLincoln。
「この世界で、喜びを見つける事は可能だよ」
と、断言する神に対し、
「それにゃ、かなりの時間がかかるよ、俺は、きっとその前に死んでるよ」
と答えたLincoln。
そして、自分の主張が正しい事をLincolnに認めさせるために、神は、Lincolnを不死にする事にしたのですが・・・。


ミクシーの「BDについてもっと知りたい!」コミュニティーで紹介された作品。
前々から読みたかったのですが、図書館では、第1巻はいつでも貸し出し中。
先日、図書館に行ったときに、やっと借りることが出来ました。

現在4巻まで出ている「Lincoln」シリーズの第1巻目です。

正義も義理も、他人の迷惑も、全く眼中にない、とてつもなく、ひねくれた、性格のヒーローと、『実験』のため、彼に付きまとう、おかしな神様を中心に展開活躍する、一味も二味も変わっている、ユーモアウエスタン漫画。

ポンチョを着た農民の姿をしている神様、ひとがいいのは、まあ、神様だから、当たり前かもしれないけれど、この神様、ちょっと抜けていて、Lincolnに有り金を巻き上げられてしまい、通りかかった悪魔に、借金したりします。

そんな、フランス人のシニックなユーモアがところどころ、ちらばめられているので、読んでいて、何度も声を上げて笑ってしまいました。

限りなくシニックで、意地の悪い、そんなどうしようもない主人公ですら、おおらかなやさしさで包み込んで、ユーモアに変えてしまう、そんな不思議な漫画。

そして、全体的に、スピード感がある、超快適な読み心地。
最近、読んだBDの中で、読み易さの点からいったら、トップクラスに入る作品です。

活字部分を、最低限に抑えて、大部分のストーリーを絵で表現するスタイルの漫画。
だけど、読むところが少ないからといって、内容がうすっぺらというわけではありません。

厳密に吟味され、考えられた、文章のみを用いているので、ふきだしの中のテキストを読むだけで、十二分に、作中人物の複雑な気持ちが伝わって来ます。

だらだら、ごちゃごちゃ、ふきだしの台詞を欄列させるタイプのフランス漫画を描く漫画家に、この漫画を読んで少しは勉強しろ!と、言いたくなる、そんなタイプの漫画です。

絵の方は、細部まで書き込んであるタイプのグラフィックではありませんが、どことなく、とぼけている感じもするけれど、センスは抜群、そんな趣の絵柄です。

果たして、Lincolnは、改心する事が出来るのでしょうか?
ああ、続きが読みたい。

どうやら、このシリーズにすっかり、はまってしまったみたいです。

Lincolnの公式サイトはこちら
http://www.bd-lincoln.com/

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