54歳のフランスの配管工による迫力たっぷりの処女小説
2007-04-30
「Bleu de chauffe」
著者 : Nan Aurousseau
出版社 : Stock
ISBN-10 : 2234058600
ISBN-13 : 978-2234058606
表装 : ソフトカバー(11x1x18)178頁
全体評価 :(3/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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40を越えたDanは、Doltoという腹黒な男が経営する建築会社に勤務する配管工。
Danは14歳の時から働きに出たものの、職場になじめず、盗みに手を染め、鑑別所で配管工としての技術を身に着けた。 それから、30年間に、結婚し、真面目一辺倒でやってきたDanには、こすっからい、詐欺師なみのDoltoのやり口が我慢できない。
Doltoの事をうらみに思っているのは、Danばかりでなく、かつて彼の元で働いていた、Dujardinという男は、Doltoのせいで、ノイローゼになってしまった。
ストレス続きで、Danは、ついに精神衰弱を起こしてしまう。 そして、Danはなんとか、Doltoに復讐しようと、機会をねらいはじめる。
荒削りな迫力に満ちた小説。
失業して、新聞の三行広告で仕事を見つけ、働き始めたものの、社長は、金もうけしか頭にない、くずのような男。
前科があるものの、長年の間、糞真面目に、配管設置をしてきた主人公の目を通して、フランスの悪徳建築業者の手口と、ずさんな建築関係者の仕事振りが語られ、それに耐えかね、彼が徐々に精神の均衡を失ってゆく様子が語られます。
とにかく、迫力たっぷりで、胸に迫ってくる表現。
ラフな話し言葉で綴られた作品なのですが、しゃちこばり文学性を強調した文体で書かれた作品などに比べると、迫力という面では、一段も二段も上。
多くの人間の人生を台無しにし、回りの人々から憎まれているDoltoが、一種の『病』の犠牲者である事をDanが、発見する後半の下りは、なかなか読ませました。
Doltoが抱えている問題など全く目に入らず、に、ひたすら自分の憎しみだけを負い続ける主人公の追い詰められた心がギリギリと、胸に伝わってきて、切なくなりました。
既成の文学、小説の型にはまらない、原石の輝きを持っている作品。
実際、配管工、暖房設備調整工などとして、建築現場で、長年働いていた著者が、54歳の時に、発表したの処女作です。
この作品は、2006年に、Amila-Meckert賞(Le prix Amila-Meckert)を受賞しています。
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