凝ったプロット&繊細な心理描写&読みやすい、お勧めのフランスの現代小説
2007-04-21
Coup de coeur
「Accès direct à la plage」
著者 : Jean-Philippe Blondel
出版社 : Pocket
ISBN-10 : 2266137557
ISBN-13 : 978-2266137553
表装 : ペーパーバック(11x1x18)120頁
全体評価 :(5/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
* この表の見方はこちら
1972年のフランスのランド地方のCapbretonの海岸、
1982年のフランスのコートダジュール地方のHyèneの海岸
1992年のフランスのブルターニュ地方Perros Guirecの海岸
2002年のノルマンディー地方のArromanchesの海岸、
そして、補遺
の5部からなる、中編小説。
補遺以外の各部は、5〜7ページ程度の5つの章に分かれており、各章は、人物の名前がタイトルとなっていて、その人物のモノローグのみで構成されています。
第1部の、第1章目は、1972年にカップブルトンで、両親と共に夏休みを過ごす男の子のモノローグ、第2章目は、同時期にカップブルトンに滞在した、前の章の男の子とは、全く関係ない男のモノローグ、といった風に、一見すると全く繋がりが見えない、同じ時期に、ある海辺の町に居合わせた複数の男女のモノローグで、織り綴られた作品です。
この小説の構成は、以前に紹介した「1979」と、似通っています。
一つの章は、ジグゾーパズルのワン・ピース。
作品を読み進めて行くうちに、全く関係なく見えたピースがお互い絡み合い、一つの絵の一部となっている事に気がつきます。
読みながら、以前の章に戻って、それぞれのピースの絡み合いを確認しながら読んでしまう、そんな機知溢れる構成の作品。
私が、Blondel氏の作品を読むのは、これで、3冊目。
この小説は、2003年に発表されたBlondel氏の処女作だそうですが、今まで読んだ氏の作品の中で、私に一番強い衝撃を与えた作品です。
以前に書いた記事を読んでいただければお分かり頂ける事と思いますが、Blondel氏の作品はどれも、素敵な作品なのですが、この小説を読んでから、他の作品を読んだら、どれも、味気なく思えてしまうような気がしたくらい、私は、衝撃を受けました。
18人の夏の一時のモノローグという形で、彼らの人生の一つの断面を書くことだけで、彼らの人生の全体像、奇妙に交差する人生の不思議、そして『真実』が持つ多面性を、美しい結晶のような文章で表現した小説。
そして、どのピースにも、著者の人間に対する、慈愛にも似た、やさしさが感じられます。
トリッキーなプロットの小説が好きな方に、特に、お勧めしたい作品ですが、とても読みやすいフランス語で書かれている上、一つの章の長さも短く、とても読みやすい小説なので、フランス語の文法を一応マスターしたので、何か読んでみたいとお思いの方にも、お勧め出来る作品だと思います。
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