フランス人看護婦が見たセネガル
2005-11-28
「Tam-Tam Sénégal」
著者 : Nadine PRUDHOMME
出版社 : L'Harmattan
ISBNコード : 2747583473
表装 : ソフトカバー(14x22) 216頁
| 本の内容 | ☆☆ | 13/20 |
| フランス語難易度 | ## | 普通 |
| 読みごごち | ♪♪♪ | .すらすら読めました |
(上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい)
この本は、主人公のAnneが、セネガル人の友人Demba の死の知らせを受けたところから始まる。
Anneは、自分が、夫のPierreがこの世を去ったときと同じくらいのショックを受けた事に驚き、過去を回想する。
Simon とMarieという、2人の子供がいる中年夫婦AnneとPierreは、セネガル旅行の際に、セネガル人の男性Demba知り合い、友達になる。Pierreの知らぬ間に、Anneは、Dembaは恋に落ち、フランスへ帰ったAnneの元に、Dembaからのラブレターが届くようになる。
その後、看護婦のAnneは、休暇の間、Dembaの住む村のそばにある診療所でボランディアをするため、単身でセネガルへ向かう。
ろくな薬も、医療備品もない、診療所の様子に、当初、Anneはショックを受けるが、診療所で働くことに生きがいを感じるようになる。
手紙とは、がらりと態度が変わってしまった、Dembaの態度を裏切りを感じながらも、Anneは、Dembaのことを拒むことが出来ない。
ある日、Anneは患者の一人の村人が祖父から相続した土地を売って、タクシー会社をはじめたいと考えていることを、耳にし、セネガルに土地を買って家を建てることを考えはじめる。
休暇を終え、フランスへ帰ったAnneは、Pierreに、セネガルに土地を買って、家を建てる計画を打ち明ける。
この計画に、魅力を感じたPierreは、Anneに同意し、二人は、この計画を実行に移すことにしたのだが・・・
本の前書きによると、アフリカとフランスで、看護婦として働いた経験がある著者が、友人が実際に、経験した出来事を元にして書いた小説。
とにかく、とても面白くて、読み出したら止める事が出来ず、一気に読み通してしまいました。
なにしろ著者は、読者を感情移入させてしまうのに、とても長けています。
作中、『主人公が、フランスの医療機関や、製薬会社等を駆け回って、セネガルの診療所へ寄付する医薬品や備品をかき集め、航空会社と交渉して、超過料金を払わずに、飛行機で運ぶ手はずを整え、税関のための書類を揃え、ダカール空港に到着したら、判子が1個足りないというだけで、役人は通関すること拒否。診療所に行って、この事を村人に話しても、皆あまり、憤慨する様子をみせない。それでも、Anneはあきらめられず、村人のコネを使って、大臣と約束を取り付け、大臣に頼んで、なんとかやっとの事で、医薬品を受け取りに行ける様になる。空港のいじわるな役人に、いやみを言われ、やっと、荷物を通関すること出来るようになり、空港の倉庫へ取り入ったのだけど、医薬品の箱は、開封されており、一部が盗まれていた』
という、エピソードが出てきますが、これなど、多分、実際、アフリカで看護婦をした事ある著者の経験が、入っているのではないか?と思われるほど、リアルに、描かれています。
この下りは、この作品の一つのクライマックスですが、それ以外のエピソードでも、私は、読みながら自分がAnneになって、この出来事を経験している様に、興奮しました。
セネガル人の態度に、慣れることができずに、憤慨するAnneに、友人のMoussaが
「君は、ここの文化の微妙なニュアンスを完全に把握するほど、長く住んでいるわけじゃない、・・・」
と、彼女のやり方がまずかったことを指摘する場面があります。
『自分が接している異文化圏の風習、やり方を理解しようとせずに、自分のやり方を押し付けて、それがうまく行かないからといって、憤慨するのは、間違っている』
これは、往々にして、忘れがちになってしまっている事ですが、外国に住む時、心に刻み込んでおかなければならない根本的な約束事だと、この下りを読んだ時、再認識しました。
愛し、信じていた者に裏切られ、絶望の淵に落ち込んでしまったヒロインですが、彼女は、そこから、見事に這い上がり、新しい人生を築きいていきます。
セネガル人から見た主人公の姿が作品中、言及されていなかったのには、ちょっと残念な気がしましたが、
40台でアフリカに出会い、それから、一生を通して、フランスとセネガルの二つの国を愛したフランス人女性の、波乱万丈な感動的な、お話です。
フランス人の目から見た、セネガル生活が生き生きとかかれているので、エンターテイメントとしてだけでなく、アフリカ人の考え方、生き方を理解する手助けになる作品だと思います。
特に、アフリカ文化に興味をお持ちの方に、お勧めしたい本です。


