メディチ家の庇護を受けた天才画家フィリッポ・リッピの生涯を描いた力作
2007-03-16
「La passion Lippi」
著者 : Sophie Chauveau
出版社 : Folio (Gallimard)
ISBN-10 : 207030681X
ISBN-13 : 978-2070306817
表装 : ペーパーバック(11x2x18)483頁
全体評価 :
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15世紀のフィレンッエが舞台。
愛する新妻の元で、昼食を取るため、帰宅する途中、コジモ・デ・メディチは、人ごみを避け、小さな路地に足を踏み入れた。
薄暗い通りを進んで行くにつれ、足裏に分厚いたこのある裸足で乞食のような少年が、埃と墨で、オリーブの木を背景に宗教画を描いているを目し、その絵のあまりのリアリズムに衝撃を受け、コジモは、足を止める。
この裸足で乞食のような少年が、この様な見事は絵を描いた事を信じることが出来ないコジモは、
「本当にお前がこの絵を描いたのかい?」
「もし、私がこの絵を消しても、同じものを描きなおす事が出来るかい?」
と、少年に尋ね、金の入った皮袋を投げ与えた。
すると、少年は、さっと、路上の絵を消し、巧みに、先ほども同じような絵を描いてみせた。
少年の描く絵が、あまりに才能溢れ、ずば抜けてうまい事に、驚愕したコジモは、この少年を、知り合いの画家のGuidoの所へ連れて行く。
少年の稀な絵の才能を見抜いたGuidoは、この乞食同様のLippiと名乗る少年を、自分の弟子としてアトリエに迎え、絵を教えることを承諾する。
コジモは、Lippiの衣食住を確保するため、彼を知り合いの修道院へ、見習い修道士として、Lippiを、預けることにする。そして、Lippiは、毎日修道士として修行を積む傍ら、Guidoのアトリエで絵を学ぶ事になった。
後日に、偉大な名を残したボッチェリの師であり、メディチ家のお気に入りの画家であった、フィリッポ・リッピの生涯を描いた力作。
修道士でありながら、娼館に入りびたり、修道女の中から選んだ聖女マリアを描くためのモデルの女性を孕ませ、当時のキリスト教の戒律をことごとく破りながら、その才能のため、法王をも、罪を問う事を躊躇した、無頼の天才画家の波乱万丈の生涯が、型破りな数々のエピソードを交え語られます。
春夏秋冬の4章に分かれているのですが、まあ、よくもここまで、スキャンダルを起こしたり、事件に巻き込まれる事が出来たものか・・・と、ため息が出てしまうほど、山あり、谷あり、波あり、津波ありの、忙しい人生を送ったリッピ。
この、しょうもない、女ったらしの修道士の主人公。 今でもかなり、お堅いカトリック教会が、今より、ずぅっと融通が利かなかった時代に、いくらなんでも、ここまでやったら、もうアウトじゃないのぉ、という所まで来ても、必ず、彼の絵の才能に、魅せられてしまった人達の、計らいで、なんとか窮境を切り抜けてしまいます。
483頁もある長編なのですが、次から次へと、事件が起こるので、心休まる暇などなく、最後まで、はらはらしながら読み通してしまった作品でした。
実は、私、去年の夏休み、フィレンツエへヴァカンスで行ったのですが、この本、行く前に読んでおけば、10倍、旅行を楽しめたのに・・・、と臍をかみました。
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