クールな語り口が魅力的なフランス製ハードボイルド
2007-02-26
「L'Homme qui assassinait sa vie」
著者 : Jean Vautrin
出版社 : Le Livre de Poche
ISBN-10 : 2253155411
ISBN-13 : 978-2253155416
表装 : ペーパーバック(18x2x11)314頁
全体評価 :
フランス語難易度 :
読みごこち :
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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雨の降りしきるフランスのボルドーで、この物語は幕を上げる。
冴えない私立探偵Gus Carape と、公金横領の罪で3年間刑務所暮らしを経て出所したFrançois、この二人の男たちは、それぞれの思いを抱え、雨を見つめている。
自分の過去に係わった人間達の行方を探り、生家のある、アルカッションに向かうFrançois。
一方、手持ち無沙汰にう、ボルドーの町を彷徨うGus Carape。
父親の古い友人のMaria Costabonne から、行方不明になった45歳の自閉症の息子を探してもらいたいとの依頼を受けたGus Carape、そして、ある企みを胸に秘め南に向かう、François、この二人の軌跡が、フランスの高速道路で交わり、Gus Carapeの人生は、意識しないうちに、破滅へと向かってゆく。
ページを開いたとたん展開する卓逸なハードボイルドを思わせる、クールで、私的な語り口に、魅せられ、一気に最後まで読んでしまいました。
推理小説でも、サスペンスでも、スリラーでもなく、ハードボイルドと呼ぶのも躊躇われる、「Série Noire」という、形容詞がピッタリくるフランスの古いギャング映画と同じ種類の雰囲気が漂う小説。
人生と決別をつけることを決心した、義父の犠牲になり、公金横領の罪を着せられ、刑務所に送られた元エリートの末期を語った作品。
この、Françoise を中心に、さえない文無し仕事なしの私立探偵Gus Carape、チョコレート中毒で、横柄な巨体の刑事Kowalskiや、
熱心な共産党党員のMaria Costabonneと、自閉症のその息子Liberto、
Françoiseの3人の元妻、冷酷なKowalskiの餌食になるトラック運送業者等
等の人々が、Françoiseの描いた腹黒い企みに、巻き込まれてゆく様子を、鋭いかみそりの刃の切れ味を思わせる、独特な文体で冷ややかに綴ります。
ストーリーそのものも、悪くないのですが、私は、その破滅に向かって行く男の姿を語る、その語り口のスタイルに魅せられてしまった作品でした。
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