2006年ルノドー賞受賞作家による独創力とユーモア溢れる奇想天外な小説
2007-02-24
Coup de coeur
「Verre cassé」
著者 : Alain Mabanckou
出版社 : Seuil
ISBN-10 : 2020849534
ISBN-13 : 978-2020849531 :
表装 : ペーパーバック(11x18x1)248頁
全体評価 :
フランス語難易度 :
読みごこち :
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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アフリカのコンゴのBrazzaville.に、ある「Crédit a voyagé」という奇妙な名のバーが、この小説の舞台。
このバーの記録を残したいと思った、バーの主人、l’Escargot entêté は、バーの常連で、アル中で文学への造詣の深い元小学校教師、Verre cassé に、ノートと鉛筆を渡し、バーにまつわる出来事を書き留めるように、懇願する。
はじめは、渋り気味だったVerre cassé であったが、l’Escargot entêté に説得され、赤ワインを片手に、ノートに、バーの常連達の内訳話を記し始める。
2005年のルノドー賞の最終候補に残った作品。
惜しくも受賞は逃したものの、最後2作残った最終投票の際に、受賞作と同点を得た作品だそうです。
ピリオドが一切使われていない作品。 ピリオドの代わりに、ヴィルギュールで、文と文との区切りがつけられています。
こう書くと、「いやぁ、読みにくそう」
と、思われるかもしれませんが、文章自体は、くだけた口語で、書かれているので、かなりすらすら読めた作品でした。
ただ、1節の長さが短くないので、フランス語の本を読みつけていない人には、読みにくいところがある作品かもしれません。
日曜日は、主の日(教会へ行く日)なので、仕事はしないという土地の慣習を破り、バーを日曜に開店している l’Escargot entêté への批判をめぐる、抱腹絶倒の大臣達の見得の張り合いを語った話、
自分の娘を犯したとの『濡れ衣』を着せられ、刑務所送りになった女狂いの、いつも4枚重ねのオムツを付けている男の話、
フランスへ渡り、定職を得、フランス人女性と家庭を持ち、幸せに暮らしていたのだけど、『荒淫なフランス人妻のたくらみ』により、階段を転げ落ちるよう、不幸へ落ち込んでしまった男の話、
アルコールにとっても強いバーの常連の女性Robinetteは、20分の間排尿し続ける事の出来るのが自慢で、おしっこの長さくらべでは、彼女にかなうものはいなかった。ある日、バーに現れた見かけない客が彼女に挑んだ、その顛末を語った話。
裁判中に、舌先三寸口八丁で、何とか判事をうまく丸め込めようとした、いんちき、お守り売りの話。
そして、この話の語り手であるVerre cassé の過去の回想。
などの逸話が、独特のテンポとユーモアに彩られた、迫力タップリの
Verre casséの話術で、語られます。
狂気をユーモア、風刺、そして、不思議なやさしさで包みながら語った、型はずれで、奇想天外な作品。
話の語り手の出来事に関する解釈が正しいのか、それとも、彼の頭の方がおかしいのか、読むものを迷路へと誘い込んで行きます。
又、文学作品に関するちょっとした記述が、作品のあちらこちらに、ちらばめられているのも、文学好きの読者に評価されているようです。
既成の文学にこだわる事なく、自由自在に書かれた、勢いが感じられる、新しいタイプの小説です。
だけど、この小説、かなり下品で汚ない場面が出てくるのが、玉に瑕。
この本を読みながら食事をするのは避けた方がいいような気がします。
だけど、著者の才気が溢れ出す、そんな感じがする、型破りの作品でした。
http://www.rfo.fr/article157.html
では、著者のこの著作に関するインタビューが読めます。
又、Alain Mabanckou のブログ
http://www.congopage.com/amabanckou_blog.php3
も興味のある方は、覗いてみてくださいね。
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