ホワイトハウスのデザート事情
2007-02-16
- 「Sucré d'Etat
著者 : Roland Mesnier
Christian Malard
出版社 : J'ai lu
ISBN-10 : 2080687891
ISBN-13 : 978-2080687890 :
表装 :ペーパーバック(11x2x18)440頁
全体評価 :
フランス語難易度 :
読みごこち :
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フランスの片田舎の電気も水道もない、貧しい家庭に生まれ、菓子職人として修行を積み、世界でトップクラスの菓子職人となり、25年に渡りホワイト・ハウスの製菓部チーフを務めたRoland Mesnier の半生記を語ったノンフィクション。
Mesnier氏は、1944年に、フランスの北西部にある人口150人程の小さな村に生まれ、9人兄弟に囲まれて育ちました。
そして、中学校を卒業すると、ブゾンソンのケーキ屋に、見習いとして住み込み働き始めます。2年後に菓子職人としてのCAP(職人適性証書)の試験に合格し、一人前のケーキ職人としてのスタートを切ります。
ブゾンソン、そしてパリのケーキ屋に、勤めた後、ドイツ、イギリスのケーキ屋、ホテルの製菓部門で修行を積んだ後、バーミューダー島にあるホテルで、製菓部門の責任者として抜擢されます。
それから、フランスのホテル、一流レストランの製菓部のチーフとして、勤務した後、 アメリカヴァージニア州にあるHomesteadホテルの製菓部のチーフ地位を経て、ホワイト・ハウスの製菓部のチーフとして、就任します。
そして、その後25年に渡って、カーター大統領、レーガン大統領、ブッシュ(父)大統領、クリントン大統領、ブッシュ(息子)大統領の家族と、ホワイトハウスを訪れる世界各国の要人のために、デザートを作り続けます。
このノンフィクションは、Mesnier氏がホワイトハウスに職を得るまでの軌跡とホワイトハウスでの思い出話によって成り立っています。
ホワイトハウスの製菓チーフなんて聞くと、とても威張っていて、とっつきにくい人、というイメージがありますが、この本を読むと、そんな先入観は、すぐに失せ、Mesnier氏が、とても気さくで、細かい気配りが出来て、正義感がたっぷりの人物である事がわかります。
Mesnier氏が苦労して、考案した数々のケーキやデザートを軸に、
フランスの製菓コンクールの汚い裏側や、
ホワイトハウス歴代の大統領夫妻や、ゲスト達にまつわる逸話、
9月11日のテロの折のホワイトハウス様子など、
アメリカを揺るがした出来事をホワイトハウスで働いていた、Mesnier氏がどういう風に受け止めたか等々が語られます。
国際的なゲストのためのデザートを考案する折、必ず、ゲストの国にインスピレーションを得たデザートを作る事にしていたため、時には、資料を読んで、頭を捻ったりと、大変苦労した様子なども語られますが、その苦労を理解してくれるゲストに巡り合ったときの喜びは、いっそうのものであったようです。
日本人はオレンジが大好きだと聞いていたため、中曽根首相がゲストとして招かれた時に、オレンジを模ったデザートを作ったら、首相が、
「いやぁ、アメリカは何で大きいけれど、こんな大きいオレンジは・・・、テキサス産ですか?」
と、言われたと、レーガン夫人から聞いて、とても嬉しかった事、
当時皇太子であった、現天皇夫妻のために、日本を象徴する桜からインスピレーションを得て、さくらんぼをベースにし、日本の国旗を模ったデザートを作った折、美智子様が大変感動なされ、デザートを作った方に是非お礼を述べたいと言われた、という話を後から聞いて、とても光栄に思ったなど等、
日本の要人に関するエピソードも出てきます。
又、フランスの大統領のお付のシークレットサービスの傍若無人な態度、大がかりな年明けパーティーの際に人手が足りず、手伝いに来てもらったMesnier氏の息子さんが、このようなパーティーで、税金を湯水のように使うのは、耐え難い事だと思った事、フランスに帰国した折、フランス人のアメリカ人への態度に憤慨した事など、色々と、考えさせる下りも出てきます。
とにかく、読むだけで、よだれとため息が出てきそうな、豪華で優美で美味(と思われる、食べたことないので・・・)な、ケーキの描写がたっぷり。
写真のページが少ないのが、とっても残念でした。
歴代の大統領に関する批判や、ホワイトハウスの内緒の話を読みたいとお思いの方の好奇心を満足する事は出来ませんが、ケーキやデザート作りに興味のある方、料理人又は、パティシエとして国際的に活躍してみたいとお思いの方には、お勧めしたい本だと思いました。
この本の巻末には、歴代の大統領のお気に入りのデザートのレシピが付いています。
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