児童労働をテーマに沿えたフランス製ハードボイルド
2007-02-10
「Le sang des roses」
著者 : Patrick CAUVIN
出版社 : Livre de Poche
ISBN-10 : 2253090263
ISBN-13 : 978-2253090267
表装 : ペーパーバック(11x18)316頁
全体評価 :(4/5)
フランス語難易度 :(3/5)
読みごこち :(4/5)
* 上記評価は、個人的な物なので、あくまでも目安としてご参考下さい
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フランス、ロワール河の近郊の城に、元画家のAgnès と共に住んでいる、Maximilian Reiner は、謎に包まれた事業家。 Reinerは、パキスタンに絨毯の製作所を持ち、そこで、製造された絨毯の輸入販売を主に扱っていた。
ある日、彼の工場で生産された絨毯を積んだ船の中から、子供の死体が見つかったとの連絡がMaximilian Reiner の元に入る。今後の事業に支障をきたす事を恐れたReinerは、至急、現地へ赴く。
現地で、元警官の情報屋から、
殺された少年が、Reiner所有の絨毯製作所で9年間働いていたSwaendi Ojah という名で、9年間の労働の末、両親の借金を返済し終わったため、自由の身となり、製作所を去っていたが、数ヵ月後、舞い戻ってきて、殺された。Swaendiの体に残った傷から、売春に関係していた事が明らかになった。 死体は、製作所の裏の倉庫のそばに埋められた。誰かが、死体を盗んだと推察される、
との情報を得たReinerは、Swaendiが働いていた工場のある Gwadar Kalat へ、足を運ぶ。
そして、製作所で、両親の借金を返すため、奴隷のように働かされている子供達のうちの一人でSwaendi の友達であった Ram という少年から、Swaendi の殺人にまつわる情報を得たReinerは、Ramと一緒に、Swaendiの死ぬ前の足どりを辿り始める。
今まで読んだPatrick CAUVINの作品で、最も読み応えのあった本。
ユーモアたっぷりの語り口が特徴のCAUVIN氏の作品には珍しく、シリアスなハードボイルドです。
「発展途上国の子供の労働」という、社会的なテーマを扱っていますが、エンターテイメントに徹しており、説教じみた下りは皆無なので、「難しい話は苦手」という方にもお奨めできる作品です。
相変わらず、スピーディーな展開、迫力タップリのアクション描写などなどで、読者の気をそらせません。
そして、特に、絨毯製作所で、強制労働をさせられていた、Ramという少年のキャラクター設定及びその描写が見事。
映画が大好きで、おしゃべりで、機転が利いて、勇気があって、そして、とても愛らしい。読んでいて、ハードボイルドを地のまま行っているReiner が、彼に重要な役割を任せてしまうのが、自然と納得出来ました。
ハードボイルド系の作品では、おざなりにされてしまう事が往々にしてある、女性や、子供のキャラクター描写に重点を置いているところも、スピーディーなストーリー展開、迫力のあるアクション描写等と合わせて、評価したい点です。
私は、主人公のReinerが魅力に溢れる人物なだけに、彼の過去について、もっと突っ込んで書いてもらいたかったなぁ・・・と、そこの所だけ、ちょっぴり残念に思えてしまうほど、主人公に入れあげてしまった、超お勧めのフランス製、ハードボイルド小説です。
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